■学習支援にも注力

 ハーレムにフィギュアスケートを持ち込むというアイデアは1991年にさかのぼり、複数の黒人家族と、元プロアイススケーターのコーエン氏が共同で始めた。コーエン氏は「本当にコミュニティーあってのもので、その力でプログラムは年々大きくなっていった」と振り返る。

 主に子ども向けのプログラムであるFSHでは、学習支援も行っている。コーエン氏は「教育が土台にあった。それがあれば、将来多くのドアが開く」と話している。

 5歳から30歳までのメンバーのうち、ほとんどが黒人かヒスパニック、混血で、10人中9人以上が低・中所得の家庭の出身だという。ニールさんは「ハーレムの女の子は、必要なサポートを受けられないことがある」と明かし、そのせいで中には「間違った道に落ちてしまう」人もいると語った。

 しかしFSHでは、夜に学習補助の授業が受けられる。スケートは人生のようだと言うコーエン氏。「最初は転ぶもの。氷の上に出たら誰だって転ぶ。1回転んだら、どう立ち上がり、どうやり直すか。それを学べる点で(スケートは)ユニーク。転ぶのはちっとも悪いことじゃない」と話す。

 FSHは、スケートリンクでの成功と失敗の経験や学習支援は、長期的な効果をもたらすと訴える。団体によれば、参加者のほぼ9割が学校でトップクラスの成績を取り、多くが高等教育に進学するという。(c)AFP/Diane DESOBEAU, Nicolas REVISE