【3月8日 CNS】辰年の春節(旧正月、Lunar New Year)前後、中国の多くの地域が寒波に見舞われ、河北省(Hebei)と河南省(Henan)では暴雪が発生し、湖北省(Hubei)と湖南省(Hunan)では氷雨が降った。強風と大雪により送電線に氷の層が形成され、風に吹かれて時々「舞」上がるように動き、短絡の危険性があった。送電線が氷に覆われてしまうのに、中国の多くの電力会社がドローンを利用し除氷し、新技術の革新的な応用で送電線の安全を確保した。

 この難度の高いドローン飛行作業は、機械的衝撃式除氷と呼ばれている。作業過程において、ドローンの飛行高度と速度は厳格に制御され、ドローンに取り付けられた除氷棒を使って送電線を打ちつけて、その衝撃により氷雪を迅速に落とす。断電することなく、除氷効率を向上させる。現在、ドローンによって、噴霧熱分解式、光波照射式、超音波振動式などの方法で、送電線を覆っている氷を除去することができるとのことだ。

 伝統的な除氷方法では、電気工事士が寒風の中で鉄塔に登り、氷層を手作業で清掃する必要がある。作業員の安全の確保のため、除氷中は、送電線を遮断する必要がある。それに対し、ドローンによる除氷は、送電線に影響を与えず、除氷時間も大幅に短縮できる。   

 中国のドローンの緊急救援業界での応用は、2008年の四川大地震の時の震源地の災害状況の空撮の試みが最初だった。その後、技術の発展に伴い、ドローンは洪水防止・干ばつ対策、地震災害、雹害・雪害、森林火災防止・消火などの災害救援で独特の優位性を発揮している。

 2023年12月18日の夜、甘粛省(Gansu)臨夏回族自治州(Linxia Hui Autonomous Prefecture)積石山パオアン族トンシャン族サラール族自治県でマグニチュード6.2の地震が発生した。翼竜-2H緊急救援型ドローンが被災地域の上空に飛び、現場の映像をリアルタイムで送信し、救援隊員が災害状況を迅速に把握するのに役に立った。この型のドローンは、緊急救援任務に数回にわたって用いられたという。

 2024年2月10日、貴州省(Guizhou)で多数の森林火災が発生し、多くの地域でドローンを利用して消火弾を投下し、救助作業を行った。また、ドローンのサーモグラフィーカメラを通じて、現場の救急隊員にリアルタイムで高解像度の現場映像を送信し、救援決定の重要な根拠を提供した。

 中国の業界関係者は、ドローンの中国の緊急救援での応用が深化している背景として、技術の革新とアップグレードのみならず、人びとのドローンの応用に対する観念と認識の変化が大きいと考えている。ドローンの応用は、中国の緊急救援の情報化と現代化の建設を推進し、中国の防災・減災能力を向上させるのにある程度寄与しているといえる。(c)CNS/JCM/AFPBB News