【3月6日 東方新報】33元(約689円)のパンが「掘り出し物」として15.9元(約332円)で買えたり、70元(約1460円)のフルーツを半額で購入できたり、50元(約1043円)の乾き物を19.9元(約415円)で手に入れられたり……。

 これらは、浙江省(Zhejiang)寧波市(Ningbo)に住む女性・李(Li)さん(仮名)が最近購入した幾つかの「余り物食品福袋」の体験だ。

「福袋」の中には過剰生産で売れ残ってしまった食品が詰められている。店は若い消費者が好む「福袋」の形式を利用して、商品の在庫処分を行っているのだ。

 李さんの話では、今回15.9元で買ったベーカリーの福袋の中には3種類のパンが入っていた。中身のパンの味は、通常購入の「割引なし」の商品と変わらなかったという。店舗の残り物なので、商品の自由な選択肢はない。

 彼女はいわゆる「00後世代」(2000年以降生まれ)だ。李さんは笑いながら「福袋を開ける体験が大好き。超お得なケーキに当たったりすると、大儲けした気分になれます」と語る。

「福袋を購入するのは主に20歳前後の若者たちで、経済的なリーズナブルさが彼らの購入の主な理由です」、寧波でベーカリーを経営する「95後世代」(95年以降生まれ)の任(Ren)さんはこのように話す。彼の店では主にその日に焼いた商品を販売しており、売れ残りの商品が生じるのは避けられない。

 任さんが「余り物福袋」を導入したのは、無駄遣いをしたくないという思いからだ。彼の店では今年初めに「余り物福袋」を始め、オンラインでその日の売れ残りのパンを販売している。毎日3つほどの「福袋」を出すが、出したらほとんど直ぐに売り切れになるという。

「余り物福袋」は、廃棄食品を減らし、創造性と互助性があり、消費者の好奇心と新鮮さを満足する。さらにはリーズナブルな価格で環境保護と「完食」を目指すことにもなる。これが「Z世代」の新しい消費トレンドとなっている。

 記者の調査によると、現在、杭州市(Hangzhou)、寧波市、上海市など複数の都市で、「余り物福袋」を手掛けるサービスプラットフォームが登場している。日常のベーカリー、飲料のほか、軽食、煮物、おつまみ、花などの「福袋」もあり、商品価格は一般的に「3割引」「4割引」となっている。

 杭州に住む「00後」の大学生・楊莎莎(Yang Shasha)さんは「最初は好奇心から『福袋』を手に入れたけれど、今では『余り物』を買うことが新しい習慣になりました」と話す。彼女は友人から薦められて「余り物食品福袋」の購入にハマったという。楊さんは、福袋を最初はじっくり選んでいたが、スマホを「着信通知」に切り替えてから、購入スピードも速くなっている。

 楊さんが「余り物食品福袋」のファンになったのは「価格が手頃で、品質が良く、環境に優しい」という理由からだ。彼女にとって、「福袋」の購入は一石三鳥の効果をもたらすものだ。彼女はこの方法をより多くの人に勧めるつもりでいるという。(c)東方新報/AFPBB News