【3月4日 AFP】韓国の首都ソウルで3日、大学医学部の定員引き上げをうたった政府方針に反対する医師らによる大規模な抗議デモが行われた。2週間前には方針に反発した研修医約1万人が辞表を提出するなど、医療現場は混乱に陥っている。

 医学部の定員増方針は、医師不足と高齢化対策として打ち出された。政府は職場離脱者に対し、2月29日までに復帰しなければ逮捕や医師免許停止といった法的措置を講じるとしていたが、大半の医師はこの警告を無視した。

 この日のデモでは、黒いマスクをつけた参加者が「医学部定員増反対」と書かれたプラカードを掲げた。

 大韓医師協会(Korean Medical Association)幹部は参加者に「政府は改革措置を一方的に推進しようとしているが、いかなる状況下でも受け入れられない」と呼び掛けた。

 保健福祉省によると、一部の主要病院では先週以降、予定されていた手術の約半分が中止された。

 韓国の法律では、医師のストは認められていない。政府は現場離脱者の捜査を警察に要請した。

 李祥敏(イ・サンミン、Lee Sang-min)行政安全相はこの日、KBSテレビのインタビューで、定員増の重要性を強調。定員を65%増やし2000人とすることを目指す今回の方針も、医療分野の重要性を考えれば「大幅なものではない」と述べた。

 政府は、定員増計画について、先進国の中で人口当たりの医師数が最低である現状への対策だとしている。

 これに対し、医師らは定員引き上げによって医療サービスと医学教育の質が低下することを懸念。一方で、医師らは自分たちの高給と社会的地位を守るために反対していると批判する声もある。

 世論調査では、約75%が定員増を支持している。(c)AFP