【3月4日 東方新報】食事仲間、旅行仲間、勉強仲間、運動仲間など、さまざまなタイプの交友関係が、多くの中国の若者にとって社会生活の一部となっており、彼らはこの新しい社会的つながりを「搭子(Dazi)」と呼んでいる。

「搭子」は社会生活をより簡単で快適にする。「搭子」(或いは「仲間」)は、親密な友人とは違い、人が何か自身のやりたいことをする際に行動を共にする仲間のことで、友人関係よりも気楽で限定的な社交パートナーのことを指している。

 友人同士とは違って、趣味や興味の違いに気を使ったり相手に合わせたりする必要がなく、社交に要する労力やコストを大幅に軽減することが可能となる。

 先月に山西省(Shanxi)を訪れたリーさん(仮名)は「搭子」の意味を「やるべきことをやるべき人と一緒にやること」と説明する。李さんは同省の観光地「通天峡(Tongtianxia)風景区」を訪れ、古い街並みを散策し、「旅の搭子」と一緒に香り高い冬のスイーツを楽しんだという。

 中国北西部の寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)銀川市(Yinchuan)に住む若い女性ユエさんは、野球とソフトボールが好きで、それらを通してたくさんの「搭子」と出会ってきた。「搭子」と一緒にプレーすることで、彼女は社会的な交友の必要を満たし、そしてスポーツがもっと好きになったと話す。

 中国のライフスタイルに特化したソーシャルメディア・プラットフォーム「小紅書(Red)」では、「搭子-新しい社会関係」というトピックスが4000万回以上閲覧され、ソーシャル・プラットフォーム「微博(ウェイボー、Weibo)」では「搭子を探しています」というトピックスが7000万回近く閲覧されている。

 また「搭子」は 「2023年の流行語トップ10 」にも選ばれている。

 ネットユーザーの女性シンシンさんはネットを通じて見つけた2人の異なる旅行仲間と2度旅行したことがある彼女は「搭子は私の写真を撮り、私は二人のために具体的な旅行計画を立てたりしました。旅行中はとても楽しかったのですが、その後のコミュニケーションはあまりありません」と話す。

「私たち若者は社会的交流の際に『境界線感覚』を持っていて、自分の趣味やニーズに合った対人関係を求める傾向が強いと思います」と彼女は付け加えた。

 ソーシャル・プラットフォームには「節約搭子」まで存在する。彼らは節約方法を共有し、金銭的な目標を達成するよう励まし合っている。

 ニックネーム小蜜蜂(Xiaomifeng)さんは、ソーシャル・プラットフォームで「預金搭子」を求めて預金レシートの写真を投稿し「30歳になるまではいつもたくさん買い物していたけれど、35歳になった今、ようやくお金を貯めることが大切だと気が付きました」とのコメントを添えた。

 小蜜蜂さんの投稿を受け、ネットユーザーからは「以前は毎月2000元(約4万1675円)を預金していたが、今は6000元(約12万5026円)貯金しています」というコメントも寄せられた。

 また、一部の中国の若者は、ソーシャル・プラットフォームで「老後のパートナー」を募り、自分に適したモデルを探ろうと、老後の計画を事前に立て始めている。

「DINKS(ダブルインカム、ノーキッズ)」を標榜する90年代以降生まれのブロガーが今年初め、山東省(Shandong)での老後コミュニティのクラウドファンディングについて「小紅書」に投稿したところ、多くのネットユーザーから反響があった。そしてこのブロガーが半月後にグループを立ち上げたところ、300人以上の参加者があった。

 重慶市(Chongqing)の心理コンサルタント会社の代表・タン氏は「搭子文化は、不安に直面する若者の選択であるだけでなく、若者の間のトレンドでもある」と説明する。

 個性を追求する中国の若者の個々のニーズに応えるこうしたさまざまな「搭子(仲間)」は、中国の家族構造と社会文化の再編成が進みつつあることの表れと言えるかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News