■ノア・ライルズ(米国)/陸上男子短距離

 東京五輪では不本意な結果に終わったノア・ライルズ(Noah Lyles)だが、パリではその苦い記憶を振り払って短距離2冠を獲得し、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)の後継者としての地位を証明することを目指す。

 3年前の東京大会で銅1個に終わったライルズは、ボルトをも上回る100メートル、200メートル、4×100メートルリレー、4×400メートルリレーという驚異の4冠達成にも意欲を示している。3冠の力があることは、すでに昨年の世界陸上で示しており、4×400メートルリレーを除く3種目で優勝している。

■オリガ・ハルラン(ウクライナ)/フェンシング女子

 ここまで輝かしいキャリアを築いているオリガ・ハルラン(Olga Kharlan)だが、五輪ではこれまで個人で二つの銅、団体で金と銀と、個人種目の金メダルには縁がなかった。しかし、パリ五輪でサーブルの金メダルを獲得できれば、それはロシアの軍事侵攻に苦しんでいる母国の家族や同胞のために、これ以上ないものになるだろう。

 ハルランは昨年の世界選手権(FIE World Fencing Championships 2023)でロシア選手との握手を拒否して失格となったが、国際オリンピック委員会(IOC)からパリ五輪の出場権を与えられた。ウクライナ勢の中には、五輪をボイコットするのではなく、出場してロシアの選手を倒すことを望む選手が増えているが、ハルランもその一人だ。

 ハルランは、侵攻によって五輪での目標を一歩引いた視点で考えるようになっており、「私の夢はもう五輪ではなく、戦争が終わること。パリでは出場して、家族が現地で観戦できることが目標になる」と話している。(c)AFP