【2月27日 CNS】先日、オープンAI(OpenAI)は初の動画生成モデル「Sora」を発表し、すぐに注目を浴びた。

 OpenAIの公式紹介によれば、Soraはテキストから最長1分の動画を作成することができる。その動画は、高解像度のシーン、複雑なカメラ動作、そして複数のキャラクターの生成からなる。

 ネットユーザーは、複数の1分間の動画を連結してミニドラマや映画を制作することができるようになり、さらに、同じテーマを維持すれば、「小説から大作映画を生成する」ことも現実になるかもしれないと考えている。

 当然、Soraにも弱点はある。OpenAIによると、Soraでは、複雑なシーンの物理学原理を正確に模倣することや、因果関係の具体的な例を理解するのも難しいかもしれないという。例えば、人がクッキーを一口かじっても、クッキーに噛み跡が残らないことがある。

 さらに、このモデルはプロンプト(指示)の空間的な詳細を混同する可能性がある。例えば、左右を混同することがあるかもしれない。

 また、ネット上でも懸念の声が出ている。

 一部の意見では、Soraは一晩で映像編集者や撮影者を「一掃する」可能性があり、これからは誰のアイデアが優れているかを競うことになるだろうと言われている。

 清華大学(Tsinghua University)新聞・伝播学部の沈陽(Shen Yang)教授は取材に応じ、Soraは制作コストを大幅に削減でき、広く使われるようになれば、コストは少なくとも元の十分の一になる可能性があると述べ、そのためSoraは動画、ゲーム、教育などの業界に顕著な影響を与えるだろうと述べている。

 一方、360グループの創業者である周鴻禕(Zhou Hongyi)氏は、人工知能(AI)が必ずしもすべての産業を一夜にして変えてしまうほど速くはないが、より多くの人々のクリエイティブな力を刺激することができるとみている。

 また、この新技術については、一連のリスクやそれに伴う社会問題を引き起こす可能性があるという意見もある。

 DCCIインターネット研究院(DCCI Data Center Of China Internet)の劉興亮(Liu Xingliang)院長は、AIによるコンテンツ制作により、現実と仮想の境界が曖昧になると指摘している。コンテンツの真実性、著作権、プライバシー、データ、セキュリティなどの問題が次々と浮上してくる可能性がある。社会は、技術開発が思わぬ問題を引き起こさないように、そしてすべての人の利益を保護するために、完全な政策、法律、倫理規範が必要となるだろう。

 それに対し、OpenAIは、SoraをOpenAIの製品の応用の前に、いくつかの重要な安全措置を講じる計画だ。関連分野の専門家がモデルに対する敵対的テストを行い、誤導的コンテンツを検出するためのツールの開発も進めている。

 注目すべきは、OpenAIは昨年、全世界から「レッドチーム(AIの問題点を研究するチーム)」のメンバーを募集すると発表した。外部の力を引き入れることで、AIシステムの欠陥とリスクを事前に見つけ出すことを目指している。(c)CNS/JCM/AFPBB News