【2月27日 AFP】スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟をめぐる採決が26日、ハンガリー議会で行われ、賛成多数で承認された。最後の障害が取り除かれた形となり、スウェーデンのNATO入りが決まった。

 スウェーデンのウルフ・クリステション(Ulf Kristersson)首相はX(旧ツイッター)で、「きょうは歴史的な日だ。わが国は欧州・大西洋の安全保障に責任を負う用意がある」と表明した。

 スウェーデンと同時に加盟申請したフィンランドは昨年4月、NATO入りを果たした。スウェーデンも続くことで、ロシアを除く全バルト沿岸諸国がNATO加盟国となる。

 ハンガリーのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相は、スウェーデンの加盟を原則的には支持するとしながら、同国がハンガリー政府を「中傷」しているとし、加盟批准手続きを先送りしてきた。

 しかし、議会はこの日、スウェーデンのNATO加盟承認法案について、反対に回った極右議員6人を除く188人の賛成を受け可決。オルバン氏は「わが国の安全保障を強化する」と歓迎した。

 オルバン氏は23日に首都ブダペストでクリステション氏と会談後、「互いの善意」を確認したと語っていた。スウェーデン製のグリペン(Gripen)戦闘機4機の追加購入でも合意した。

 ハンガリーによる承認引き延ばしについては、ナショナリスト政権の政策を理由に補助金を凍結した欧州連合(EU)から譲歩を引き出す戦略と見る向きもあった。オルバン氏のロシア、トルコ寄りの姿勢を指摘する声もある。

 一方、イタリア・ベネチアのカフォスカリ大学(Ca Foscari University of Venice)の専門家マテ・シャライ(Mate Szalai)氏はAFPに対し、「北大西洋同盟に深刻な問題をもたらさすことなく、ハンガリーが侮れない存在であることを証明しようとした」国内向けのアピールにほかならず、オルバン氏には欧州に対する挑発狙いの手法が多いと指摘した。(c)AFP/Anne Beade in Stockholm and Andras Rostovanyi in Budapest