【3月2日 CGTN Japanese】 中国北京の首都医科大学付属北京天壇病院神経外科の賈旺教授のチームはこのほど、清華大学の洪波教授のチームと共同で、低侵襲脳ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)技術を利用し、高度の対まひ患者が自らの意思でカーソルを移動制御するのを支援しました。

 患者は35歳の男性で、5年前に不慮の事故により重度の頸椎対まひ(両側の下肢がともに動かせない状態)となり、自立能力を完全に失いました。賈旺教授のチームは昨年12月19日、患者への低侵襲ワイヤレス・ブレイン・コンピューター・インターフェースの埋め込み手術に成功し、マイクロブレイン・コンピューター・インターフェース・プロセッサを患者の頭蓋骨に埋め込むとともに、脳膜外の感覚運動野の神経脳波を採取することに成功しました。患者は術後10日目には順調に退院しました。

 賈旺教授によると、研究チームは患者が自宅に戻った後、遠隔指導により、ワイヤレス・ブレイン・コンピューター・インターフェース補助リハビリを行いました。システムは体外設備から患者の頭皮越しにワイヤレスで体内設備に給電し、神経電気の生理学的データ送信を実現するとともに、脳波を外部設備の制御指令に変換します。約2か月のリハビリ後、患者は自らの意思で空気圧グローブを操作して水のボトルをつかむことができるだけでなく、コンピュータ画面上のカーソルの動きを制御することもできるようになりました。

 洪波教授によると、チームは現在、ブレイン・コンピューター・インターフェイスの解読アルゴリズムの最適化を続けており、患者の意思による電子書籍のページめくり制御やカーソルのクリック確認などができるよう支援し、患者と電子機器との対話能力を強化する計画です。「低侵襲ワイヤレス・ブレイン・コンピューター・インターフェースの埋め込み成功および自身の意思によるカーソル移動制御の実現は、重度の対まひ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経機能障害の患者に新たなリハビリの方向性を提供し、患者の生理機能の回復、社会復帰に新たな希望をもたらすことが期待される」としています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News