【2月21日 AFP】ハイチの司法当局はこのほど、ジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領(53)が2021年7月に暗殺された事件をめぐり、大統領夫人や当時の暫定首相、警察長官を含む約50人を起訴した。地元メディアが19日、伝えた。

 モイーズ氏は首都ポルトープランスにある私邸で約20人の武装集団に襲撃され、射殺された。実行グループの大半はコロンビア人の傭兵(ようへい)で、警護隊は介入しなかった。

 ハイチのニュースサイト「AyiboPost」は19日、事件を検証している裁判官が、モイーズ氏の妻マルティーヌ(Martine Moise)夫人ほか50人について「犯罪の共謀、武装強盗、テロリズム、暗殺とその共犯」の罪で起訴を命じたと報じた。

 マルティーヌ夫人も事件で負傷した。だが、122ページに及ぶ報告書は「元大統領夫人の関与を示唆する証拠は起訴するに足る」としている。

 また事件当時暫定首相だったクロード・ジョセフ(Claude Joseph)氏、国家警察長官だったレオン・シャルル(Leon Charles)氏についても、暗殺に関与した「十分な証拠」があることが判明したという。

 AyiboPostによると、暗殺の首謀者や資金提供者は報告書では明らかにされていない。

 事件では暗殺計画の一部が米フロリダ州で企てられたことから、米当局も動いており、ハイチ系米国人ジョセフ・ビンセント(Joseph Vincent)被告らこれまで4人に終身刑が言い渡されている。

 モイーズ氏の暗殺後、ハイチは混乱に陥っている。選挙は行われておらず、大統領も空席となっている。

 映像は2017、2021年撮影の資料映像。(c)AFP