【2月21日 AFP】イタリア・フィレンツェ(Florence)のアカデミア美術館(Galleria dell'Accademia)では、ルネサンスの巨匠ミケランジェロ(Michelangelo)の彫刻作品「ダビデ像」の清掃作業を2か月に1回行っている。

 1504年に完成した作品は、150年前からアカデミア美術館に収蔵されている。高さ5.1メートルの像は、巨大な大理石の塊から制作された。昨年は200万人以上が同美術館を訪れた。

 清掃作業は、専属の保存修復士であるエレノア・プッチさんによって行われる。

「頻繁に清掃することができないため、近くで像を見ると全体に糸くずのようなほこりがたまっている」「見た目もよくないし、美術館にはふさわしくない」と館長のセシル・ホルバーグ(Cecilie Hollberg)氏は集まった報道陣に語った。

 美術館全体の清掃作業については、「すべての作品に敬意を払い、尊厳を保持させたいと考えている」と説明した。

■「繊細な作業」

 清掃はまず、周囲に足場を組み、その後、現状確認のための写真撮影をする。ホルバーグ氏いわく、これはダビデ像の「健康状態」を確認するための作業だ。

 作業を担当するプッチさんは、バックパック式の集じん機を背負い、作品表面のほこりをブラシで優しく払う。この時、集じん機のノズルが作品に触れないよう細心の注意が欠かせない。

 肩や頭部を作業する際には、カールのかかった髪の部分にクモの巣が張っていることがあるため、像に顔を近づけて細部まで確認する。

 ホルバーグ氏は「作品の保全には1センチ四方ずつ細部まで見なくてはならない。繊細な作業で集中力が必要」と説明。「ダビデ像の状態は良好」だと続けた。

 ダビデ像の清掃作業は足場を組むため、開始から終了まで約半日かかる。

 ダビデ像はミケランジェロが29歳で完成させた。当初は、フィレンツェのシニョリーア広場(Piazza della Signoria)に置かれていたが、1873年にアカデミア美術館に移設された。現在、シニョリーア広場にはレプリカが設置されている。(c)AFP/Alexandria SAGE