【2月21日 東方新報】国家統計局(NBS)のデータによると、昨年通年の「消費者物価指数(CPI)」は0.2パーセント上昇、「コアCPI(生鮮食品除くCPI)」は0.7パーセント上昇した。一方で「生産者物価指数(PPI)」の方は3.0パーセント下落した。

 単月でみると、今年1月までのCPIが4か月連続で前年同月比を下回り、PPIは直近3か月で前年同月比の下落幅は縮小している。

 昨年の物価が抑制された直接の原因は、CPIで言えば主に食品価格、特に豚肉価格の下落であり、PPIで言えば主に国際原油価格の高騰後の下落、生産資材価格の大幅な下落、国内不動産業界チェーンの継続的な低迷だと言われる。

 物価の低迷は、効果的な需要が不足していることなどの問題が反映されているという。

 このような物価情勢に関し、国家統計局の康毅(Kang Yi)局長は先の記者会見で「中央経済工作会議の対応政策が導入・実施されることで、有効需要不足の問題は徐々に緩和され、それに伴い消費者物価も安定的な回復が期待できる。今年の物価は緩やかに上昇すると予想する」と述べた。

 広開主席産業研究院の連平(Lian Ping)院長は「2024年の通年CPIは1.3パーセント程度の成長率になる」と予測する。

 連氏は「生豚の在庫量が少ないことと消費者需要の改善が食品価格の多少の上昇を促す。また、飲食、宿泊、観光、教育、医療などの接触型サービスや集客型サービスの価格は上昇圧力が存在するものの、前年同月比上昇率は比較的限定的なものとなる可能性が高い。一方、住宅市場は改善が見込まれることから、住宅や建築関連の耐久消費財の価格下落幅は縮小し、非食品およびコア商品のインフレーションは小幅に進行すると思われる」と分析している。

 中国民生銀行(CMBC)のチーフエコノミスト温彬(Wen Bin)氏は「今年のサービス需要の爆発的な上昇は難しいと思われ、サービス価格の前年比上昇率は低下する可能性がある。一方、限界消費性向の改善により、コア商品価格の上昇率は持ち直すと予想する。全体としてコアCPIは平穏な上昇を維持できるだろう」と見ている。

 温氏は今年の世界情勢に関して「23年の国際基礎商品の価格はまず下落し、その後に上昇し、輸入インフレ圧力は顕著ではなかった。24年を展望すると、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じ、世界の主要経済体が在庫補充フェーズに入るにつれて、国際基礎商品の価格が上昇する可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)のエネルギー市場分析報告も、原油の需給がギリギリの均衡状態にあるため、今年の国際原油価格はやや上昇すると予想している。また国際通貨基金(IMF)は今年の世界消費者物価指数を5.2パーセントから5.8パーセントに上方修正し、インフレ圧力がわずかに上昇と予想している」と解説した。

 そして温氏は、中国の今年のデフレ懸念について「豚肉価格の回復、インフレ圧力の上昇、およびコアCPIの安定した回復などの要因を総合的に勘案し、中国の24年通年のCPIの前年比上昇率は1.0パーセントに達し、23年のデフレ状態から徐々に脱却する」と見ている。

 また連平院長は、24年の生産者物価指数(PPI)について「エネルギー需給では、国際原油価格の中心価格帯が変動しながら上昇していく可能性がある。石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非OPEC産油国が加わった枠組み「OPEC+(プラス)」による減産強化や地政学的リスクの高まりが石油価格を押し上げ、24年1四半期の紅海海運問題の影響が海運業のサプライチェーンに実質的な影響を与える。欧州の製造業の景況感は引き続き低迷傾向だが、経済が大幅に衰退する可能性は低い。その中で中国経済は今年中に工業部門の在庫サイクルが在庫減少から増加に転ずると予想され、工業部門の利益回復が一部の中上流分野の需要増加と価格上昇をもたらすことが期待できる。24年のPPI前年比伸び率は1パーセントに達する可能性があり、2四半期末から3四半期初め頃に伸びのピークが到来し、年後半は全体的に安定するだろう」と見ている。

 連氏は「中国の今年のデフレ危険は弱まるとの見方が複数出ているが、自分は国内の物価は比較的順調に推移してインフレもデフレもどちのリスクも高まらないだろうと思う」 言っている。

 CF40の学術顧問で中国社会科学院の余永定(Yu Yongding)学部委員は、最近のインタビューで「中国の場合、インフレ率は3~4パーセント、あるいはもう少し高い水準を維持するのが適切なレンジだ。インフレ率が2パーセントを下回れば、中国のマクロ当局は躊躇なく拡張的な財政・金融政策を実施すべきだ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News