【2月23日 CGTN Japanese】中国の名門大学である復旦大学の繊維電子素材・デバイス研究院、高分子科学学科、先進材料実験室、ポリマー分子工学国家重点実験室に所属する彭慧勝氏と王兵傑氏のチームがこのほど、王永剛氏、周豪慎氏、陸俊氏らと共同で、室温条件下で700回の電気化学的充放電を安定して実現でき、安全性が高く比較的低コストであるなどの特長を持つ新型カルシウム・酸素電池の開発に成功しました。関連成果はこのほど、「室温で充電可能なカルシウム-酸素電池」の見出しで『ネイチャー』誌のウェブサイトに掲載されました。

 金属カルシウムは酸化還元電位が低く多価である上に、中国には豊かなカルシウム資源があることから、金属カルシウムを利用する電池システムは将来のエネルギー関連の応用で広い将来性があります。うちカルシウム-酸素電池は最高の理論エネルギー密度があるのですが、これまでは室温での安定した充放電を実現できていませんでした。開発する上での大きな障害は、金属カルシウムの負極に適合し、しかも高電位の気体正極に対応できる電解質を見出すことが困難だったことでした。開発チームはこの難題を解決するために溶媒と電解質塩、およびそれらの配合比を体系的に設計することで、ジメチルスルホキシド/イオン液を使った新たな電解質の創出に成功しました。この電解質が電池の正極と負極についての高い要求を有効に満たしたことで、室温で動作可能な新型カルシウム・酸素電池の開発が達成されました。

 このカルシウム・酸素電池の主たる構成部分は金属カルシウム負極、カーボンナノチューブ空気正極、有機電解質の3部分です。この設計は性能とコスト力を大いに向上させただけでなく、環境面での持続可能性と屈曲変形や伸縮変形が可能なフレキシブル電子デバイスでの応用をも両立させるものです。うち金属カルシウム負極は低コストであるだけでなく、理論容量も高いため、電池の高エネルギー密度を実現するのに役立つとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News