■義賊の「ロビンフッド」と比べる指摘も

 地元議員の間でも賛否は分かれている。「犯罪者は許さない」という意見もあれば、黙認とみられる方針を示す議員もいる。

 ベネト州カドーネゲ(Cadoneghe)の首長は、地域で破壊された機器について「もともと設置に納得していたわけではなかった。再度設置するつもりはない」と表明した。

 ジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)政権寄りの右派リベロ紙は、容認姿勢を打ち出しているわけではないが、フレキシマンの行為は、「しゃくし定規な官僚主義者とモラリスト」への「抵抗」だと書いた。

 一方、中立系のコリエレ・デラ・セラ紙は、「ロビンフッドは富裕層から富を奪って貧しい人を助けたが、フレキシマンは人の命を奪う」と破壊行為を批判した。

 欧州委員会(European Commission)によると、イタリアの交通事故による2022年の死者は3159人。100万人当たり53人が命を落とした計算になり、欧州連合(EU)加盟27か国の平均46人を上回った。

 また、イタリア国家統計局(ISTAT)によると、スピード超過は交通事故の原因の第3位で、全体の9.3%を占めている。1位は「脇見運転」で、2位は「信号無視」だ。

 フレキシマンをめぐる議論で国が二分する直前には、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼インフラ・運輸相と北部ボローニャ(Bologna)市当局が交通規制に関して衝突する事態もあった。

 左派が強いボローニャ市当局が、市内を走行する車の制限速度を時速30キロに定めたことをめぐり、サルビーニ氏は「鳥のさえずりを聞くには『理想的』」な速度だと皮肉った。

 これに対し、道路交通安全協会「Asaps」は、時速30キロの自動車にはねられた際の生存率は、時速50キロよりも80~90%高いと指摘した。(c)AFP/Gael BRANCHEREAU