【1月30日 AFP】エジプトの首都カイロにある「メンカウラー王(King Menkaure)のピラミッド」で始まった改修工事を映した動画がソーシャルメディアで物議を醸している。

 エジプト考古最高評議会(Egyptian Supreme Council of Antiquities)のムスタファ・ワジリ(Mostafa al-Waziri)事務局長は、改修について「世紀のプロジェクト」だと表現している。

 26日には、作業員が化粧石をメンカウラー王のピラミッドの最下層に設置している様子を、ワジリ氏が紹介する動画がフェイスブックに投稿された。

 同ピラミッドは、ギザ(Giza)のスフィンクスと比較的大きなカフラー王(King Khafre)とクフ王(King Cheops)のピラミッドの横に立つ。

 メンカウラー王のピラミッドは建造当初花こう岩で覆われていたが、時とともに失われた。改修プロジェクトは花こう岩の化粧石を再建し、当初の外観に戻すことを目指している。日本も協力している。

 プロジェクトの責任者でもあるワジリ氏によると、工期は3年の予定で「エジプトから21世紀の世界への贈り物」となるとしている。

 投稿された動画には、改修工事を批判するコメントが数十件ついた。

 エジプト学者のモニカ・ハンナ(Monica Hanna)氏は、「ありえない!」と書き込んだ。

「こうした干渉は、改修に関するあらゆる国際的な原則が禁じている」とし、すべての考古学者は「即座に立ち上がれ」と呼び掛けた。

 別のユーザーは「タイルではなく壁紙でも貼ったらどうだ?」と皮肉った。

 観光業がGDP(国内総生産)の10%を占めるエジプトでは、遺跡の保全をめぐってしばしば大きな議論が巻き起こる。

 エジプトでは市民が政治的活動をすることはほぼ禁止されている。このため、都市計画や文化遺産に対する政策に批判が向くことが多い。

 映像はメンカウラー王のピラミッドで行われている改修工事、29日撮影。(c)AFP