【1月24日 AFP】父親のマイケル・チャン(Michael Chang)氏が1986年に優勝し、母親のアンバー・リュー(Amber Liu)氏も出場した大会で、娘のラニ・チャン(Lani Chang)選手が今週、家族の「美しい歴史」に新たなページを刻んでいる。

 彼女が出場しているのは、「少年少女の四大大会(グランドスラム)」とも言われる「レ・プティザス(Les Petits As)」という大会。13歳のラニ選手が1回戦に臨む中、1989年の全仏オープン(French Open)を制したマイケル・チャン氏は、最前列で時折小さく拍手しながら静かに試合を見つめていたが、それでも38年のときを経て長女が自分の足跡をたどる様子に、白いキャップの下では感極まっていたという。

 娘と短くハグを交わしたチャンは、「娘のことは常に誇りに思っている。結果に関係なくね」と話し、「(大会が行われているフランスの)タルブ(Tarbes)に来られたのは、私たち二人にとって非常に特別なこと。ここには家族にとって素晴らしい歴史がある。私も妻もここでプレーした」とコメントした。

 チャン氏はこの大会で自身初となる海外での優勝を果たすと、3年後にわずか17歳で全仏オープンを制覇して大会の評価を高めた。それ以来、レ・プティザスは12~14歳の非公式な世界選手権として、ラニ選手のような将来有望な選手が必ず通るべき大会となっている。

 ラニ選手はセンターコートでの1回戦に2-6、6-1、6-1で勝利して順調な大会デビューを飾った。有名な元選手を両親に持つラニ選手は「ここはジュニアにとって本当に権威ある大会。たくさんの偉大な選手がここでプレーした」と話し、両親からのフィードバックは「とてもためになる」と喜んだ。夢はグランドスラム制覇だという。

 チャン氏は自身の慈善団体の活動と、元世界ランキング4位の錦織圭(Kei Nishikori)のコーチを務めるかたわらで、娘の指導も行っている。

 イワン・レンドル(Ivan Lendl)に逆転でフルセット勝ちした1989年の全仏オープン4回戦で、試合終盤に繰り出して世界を驚かせたアンダーサーブは娘に教えていない。チャン氏は「今のツアーの選手たちを見れば、私から教わる必要はないだろう。教えなくてもいい。いつでも見られるのだからね」と言って笑った。(c)AFP/Sebastien DUVAL