【1月22日 AFP】20日に行われた23-24イタリア・セリエA第21節のウディネーゼ(Udinese)戦で、敵地のサポーターから人種差別的なチャントを浴びたACミラン(AC Milan)の守護神マイク・メニャン(Mike Maignan)が、差別に口を閉ざすクラブとファン、司法当局は「共犯」だと話した。

 ウディネーゼのサポーターからモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びたメニャンは、責任の意識が薄くなる群集心理について言及。自身のX(旧ツイッター)に「集団の中にいて、スタンドから匿名で行動するのは簡単だ」と書き込み、「スタンドにいて、すべてを目にし、すべてを耳にし、しかし黙っていることを選んだ観客は、みんな共犯だ」と指摘した。

 メニャンによれば、差別チャントが最初に聞こえたのは1回目のゴールキックのためボールを拾いにいったときで、この際は「何も言わなかった」が、「その後、2回目のゴールキックのときも同じことをされた。だからベンチと第4の審判を呼んで事情を話した。この状況ではプレーできないと伝えた」という。これを受け、主審は試合を5分間中断した。

 メニャンは「中断のことしか話さず、何もなかったかのように振る舞うウディネーゼというクラブも共犯だ」と断言。「あれだけのことが起こったのに何もしないのなら、当局と検察も共犯だ」と続けた。

 イタリアでメニャンが差別被害に遭うのはこれが初めてではなく、2021年9月にはユベントス(Juventus)のサポーターから標的にされた。メニャンは「こういうことが自分の身に起こるのは初めてではないし、こういう経験をするのは自分が初めてでもない。声明を出し、啓発活動をして、規制を設けても何も変わらなかった」と訴えている。

 イタリアサッカー連盟(FIGC)は23日にウディネーゼに対する処分を決める予定で、罰金や客席閉鎖などが科される可能性がある。ウディネーゼは21日、捜査当局に協力することを発表している。

 ウディネ(Udine)市のアルベルト・フェリーチェ・デ・トーニ(Alberto Felice De Toni)市長も同日、メニャンとの連帯を強調し、名誉市民権を与えるので街を再訪してほしいと呼びかけた。「われわれの街は全員に開かれている」とした市長は、「ウディネは差別的ではない」と述べている。

 国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長はこの件を受け、差別を行ったファンの全世界でのスタジアム永久追放や、サポーターが暴言を放った場合は自動的に没収試合とすることを呼びかけている。(c)AFP