【1月19日 AFP】フランス各地で18日、警察職員がパリ五輪期間中の出勤に対する特別手当を求めデモを行った。交渉がまとまらなければ、五輪期間中にストライキが起こり、大会に支障が出る恐れがあると警告している。

 パリ五輪は7月26日~8月11日、パラリンピックは8月28日~9月8日の日程となっている。

 多くの公的部門の労組が、大会期間中の勤務に対して特別手当を要求している。仏当局は、五輪中にストライキが起これば国のイメージを損ねる恐れがあることを理解しており、交渉合意を急いでいる。

 複数の警察職員の労組は、警官らに18日は抗議行動として「最低限の仕事」のみを行うよう要請。さらにパリの警察本部をはじめ、全国の警察署前でデモが行われた。

 警察労組「Alliance Police Nationale」は、組合員が五輪中に休暇が取得できないことや残業を行うことに対して、最大2000ユーロ(約32万円)の補償を要求。声明で「特別なイベントには特別な対応を」と訴えた。

 東部ストラスブール(Strasbourg)の抗議デモに参加していた同労組の現地支部代表はAFPに「皆が出勤を求められている」「だがわれわれには子どもがおり、介護がある者もいる。どうこなせばいいか分からない」と話した。

 交渉に近い情報筋は匿名を条件にAFPの取材に応じ、ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相が15日に警察職員の代表と面会したほか、政府が五輪手当として約5億ユーロ(約800億円)を出す用意があることを明かした。

 フランスは100年ぶりのパリ五輪を、国威発揚の場と捉えている。

 このため、実行委員は、暴力的な抗議デモや労働争議というこれまでのイメージが強化されることをなんとしても避けたいと考えている。

 フランス当局は現在、医療従事者をはじめ、パリの地下鉄、鉄道、バスの運転士、街路清掃員など自治体職員と特別手当の交渉を進めている。

 国家公務員の多くは、五輪・パラリンピック期間中に休暇を取得することを禁じられた。うち数万人が休日出勤や夜勤を求められている。

 両大会期間中は警官約3万人が配備されるとみられるが、例年なら夏季休暇を取得する人が多い時期と重なっている。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT and Alexandre HIELARD