【1月18日 Xinhua News】中国やオーストラリア、米国の研究チームが11日、地球史上最大の霊長類とされるギガントピテクス・ブラッキーの絶滅の原因を解明したと発表した。採食行動や食べ物の好みへの執着が環境の変化への適応を困難にし、29万5千~21万5千年前に絶滅期を迎えたことが分かった。研究成果は国際的な学術誌ネイチャーに掲載された。

 直立時の身長3メートル、体重最大300キロのギガントピテクスは広西チワン族自治区をはじめとする中国南部のカルスト地域に広く生息していたとされるが、これまでに2千本近い歯と不完全な下顎4点しか見つかっていない。当時、同じ地域に生息していた他の霊長類が環境の変化に適応して繁栄したのに対し、最も強そうな巨大な類人猿はなぜ絶滅の運命をたどったのだろうか。

 古生物学界の長年の謎は、中国科学院の古脊椎動物・古人類研究所のチームが主導する国際的な学際研究によって解き明かされた。研究チームは2015年から同自治区で数百カ所の洞窟を調査。うちギガントピテクスの化石が見つかった11カ所、時代がやや新しく化石が見つからなかった地点11カ所の計22カ所を選んでサンプルを採取した。

 研究チームは6種類の異なる年代測定技術を用いて、化石を含む堆積物や化石本体から157の結果データを取得。花粉や胞子、哺乳動物相の歯の安定同位体、微量元素、微細摩耗痕など8分野の分析結果を組み合わせ、ギガントピテクスが絶滅した経緯を突き止めた。

 果実や花などの食べ物を好むギガントピテクスは約230万~70万年前、資源が豊富な森林で大いに繁栄した。気候の変動に伴って森林が徐々に後退し、草地が大幅に増えたことで生存環境が激変。好みの食べ物が次第に減っていき、栄養価の低い食べ物に依存せざるを得なくなった。並行して体型がどんどん大きくなり、体重も増加。採食範囲が狭まったことで個体群が縮小していき、29万5千~21万5千年前に絶滅した。

 一方、ギガントピテクスの近縁種のオランウータンは体が小さくなって機敏になり、採食行動や生息地も変えたことで、現在の繁栄につながったという。(c)Xinhua News/AFPBB News