【1月18日 AFP】エルサルバドルで2015年に出産直後に乳児が死亡したことをめぐり殺人罪で有罪判決が下され、8年間服役してた女性が17日、記者会見を開いた。昨年12月に釈放されて以来、女性がメディアの取材に応じたのは初めて。

 弁護士によると女性は2015年、エルサルバドル西部の公立病院で出産した。生まれた女児は合併症のため保育器に入れられ、72時間後に死亡した。

 その後、女性は妊娠中の健康管理が不十分だったとして「養育の放棄・怠慢」を問われ、「加重殺人」の罪で有罪となった。当初は30年の刑期を言い渡されたが、裁判所は昨年、判決を見直し、女性の釈放を命じた。

「リリアン」とだけ名前が明かされている女性は17日、「非常に長い道のりだったが、無実が証明されたことに対する満足感は極めて大きい」とAFPに語った。

 エルサルバドルの女性権利団体「妊娠中絶の非犯罪化を求める市民グループ(Citizens Group for the Decriminalization of Abortion)」によると、同国では過去に中絶、流産、その他出産時の緊急事態を理由に73人の女性が「加重殺人」で有罪とされた。リリアンさんでようやく全員が釈放されたことになる。

 そうした女性たちの釈放を求め、2014年から国際的なキャンペーンを行ってきた同団体のマリアナ・モイサ氏は「一つの流れを終わらせることができて非常に幸せだ」と語った。ただし、まだ裁判中の事例が20件ほど残っているという。

 エルサルバドルの刑法では、いかなる状況下であっても妊娠中絶には2~8年の実刑が科される。しかも検察官や裁判官は、妊娠中絶だけではなく流産でも30~50年が科される「加重殺人」と判断することが少なくない。(c)AFP