【1月17日 AFP】スイスで投資家グループが、食品大手ネスレ(Nestle)傘下でカプセルコーヒーやコーヒーマシンを手掛けるネスプレッソ(Nespresso)を相手取り、損害賠償を求める訴えを起こした。原告側の代理人弁護士が16日、AFPに明らかにした。原告団は環境に配慮したコーヒーカプセルの提供を目指す企業に投資していたが、ネスプレッソ側に訴えられ、この企業の事業が頓挫していた。一連の法廷闘争は「カプセル戦争」とも呼ばれている。

 ネスプレッソのコーヒーカプセルはアルミニウム製。原告団は、ネスプレッソのコーヒーメーカーで使用できる、より安価で生物分解されるカプセルを製造・販売するため、ネスプレッソの元幹部が2008年に創業したエシカル・コーヒー・カンパニー(ECC)に投資していた。

 しかしECCは、ネスプレッソから繰り返し訴訟を起こされた。11年、裁判所はネスプレッソの訴えを認め、ECCに対して販売禁止命令を出した。ECCのカプセルが家電チェーン店で販売開始されてから数日後のことだった。この裁判所命令は3年後に解除されたものの、その時にはすでに競合他社が市場参入していた。

 ECCは17年に事業を停止し、18年に破産。今回提訴した投資家グループの代理人弁護士によると、一連の裁判は何年も続き、原告側はネスプレッソに対し、2億8000万スイス・フラン(約480億円)の損害賠償の支払いなどを求めている。

 ネスプレッソの22年収益は64億フラン(約1兆1000億円)に上る。18年に米カフェチェーンのスターバックス(Starbucks)の名を冠したカプセルをスーパーマーケットで販売する契約を締結して以降、市場をほぼ独占している。(c)AFP