【1月21日 AFP】英首都ロンドンには、暴力による死を思い起こさせる光景が至るところにある。AFPは、昨年ロンドンで起きた殺人の現場を巡った。

 学校の前、運河沿いの道、ナイトクラブの近く、公園、さびれた工業団地の落書きされた壁に、犠牲者を追悼する言葉が残されていた。道路標識の柱には犠牲者の写真が張られ、街角には風船やロウソク、サッカーチームのシャツなどが供えられていた。

 ロンドン警視庁が管轄するグレーターロンドン(大ロンドン、Greater London)で昨年起きた殺人事件は110件。犠牲者のうち91人が男性、19人が女性だった。

 犯罪統計によると、うち14人は家庭内の事件で殺害された。10代の犠牲者は21人で、前年比50%増だった。またナイフ絡みの事件が71件あった。

 犠牲者の低年齢化と殺され方が特に問題視されており、世論や政治の場で、ナイフによる犯罪に対する懸念と対策を求める声が高まっている。

 昨年9月に通学路で刺殺された15歳の少女を悼む道端の祭壇には、「若者は殺し合いをやめて。ナイフを使うな。暴力反対」とのメッセージがあった。だが、今年もまた流血の惨事はやみそうにない。(c)AFP/Justin TALLIS