【1月15日 AFP】世界の富裕層上位5人の総資産が、新型コロナウイルスが世界的に大流行した2020年以降2倍超に増えたとする報告書を、国際NGOオックスファム・インターナショナル(Oxfam International)が15日に発表した。

 オックスファムによる世界的な格差に関する年次報告書は、スイス・ダボス(Davos)で開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会を前に発表されるのが慣例となっている。

 世界経済は、新型コロナなどの影響で10年前に比べてさまざまな危機に見舞われているが、富裕層や企業は、株価の上昇で2020年より資産を大幅に拡大。世界の不平等に拍車を掛けているとオックスファムは懸念を表明している。

 最富裕者5人の総資産は2020年には4050億ドル(約59兆円)だったのに対し、昨年は8690億ドル(約126兆円)に増加した一方で、20年以降、世界で50億人近くがますます貧しくなったという。

 オックスファムは、「労働者搾取の一方で、富裕な株主の資産拡大、脱税、国家の私物化が起きるなど、企業が影響力を振るうことで格差が助長されている」上に、賃金や食品・医薬品の価格が企業に左右される状況を招いていると指摘。

「税制の政策決定に関するロビー活動で企業が税制優遇措置を受け、最貧困層の支援に充てられるはずの政府の財源縮小の一因になっている」と批判している。

 また、経済協力開発機構(OECD)加盟国の法人税は、1980年には48%だったが、2022年には23.1%まで軽減されたことにも言及。

 こうした格差に対処するため、最富裕層への富裕税の導入が実現すれば、年間1兆8000億ドル(約261兆円)の税収が見込まれるとした上で、最高経営責任者(CEO)の給与にも上限を設けるよう求めている。(c)AFP