【1月15日 AFP】デンマーク国民の間で高い人気を誇る女王マルグレーテ2世(Queen Margrethe II、83)が即位52年の節目となる14日に退位し、息子のフレデリック皇太子(Crown Prince Frederik、55)が新国王フレデリック10世(Frederik X)として即位した。

 マルグレーテ2世は、議会と政府庁舎を兼ねるクリスチャンスボー城(Christiansborg Castle)で政府や王族関係者列席の下、退位宣言に署名。涙を見せながら「国王に祝福を」と述べた。

 フレデリック10世は宮殿のバルコニーに姿を見せ、約10万人の観衆に笑顔で手を振った。マルグレーテ2世同様、人気は非常に高く、支持率は80%を超えている。

「母は祖国と一体化することに成功した」「私も未来に向け結束をもたらす国王となりたい。それが私の責務であり、敬意と誇り、たくさんの幸せを感じている」と語り、喝采を浴びた。

 デンマークの伝統にのっとり、戴冠式は行われず、外国の要人や王族は招かれなかった。

 英国のチャールズ国王(King Charles III)は、デンマーク王室のインスタグラムのアカウントに、フレデリック10世夫妻に祝福のメッセージを投稿。

 スウェーデンのカール16世グスタフ国王(King Carl XVI Gustaf)はマルグレーテ2世を「いとこのデイジー」と呼び、長年の「協力」に謝意を表した。ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領も、「信念を持ち、無私無欲で国民に奉仕した比類なき模範」と、前女王をたたえた。

 マルグレーテ2世は、生前退位はしないとたびたび表明してきたが、昨年大みそかにテレビ中継された恒例のスピーチで、前年に背中の手術を受けたことがきっかけで退位する考えに至ったと突然発表。家族に知らせたのも、その3日前だったとされる。

 デンマークの君主による生前退位は今回が2回目。約900年前の1146年にエーリク3世(Erik III)が退位して以来となる。(c)AFP