【1月14日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ラファ(Rafah)で12日、結婚式が執り行われた。戦争は続いているが、花嫁のアフナン・ジブリルさん(17)は、家族や友人が祝福する中、終始にこやかだった。

 新婦の父、モハメドさんは「人が死に、破壊が行われていようと、私たちは人生を愛する民だ」と語った。

 ガザ最南部に位置するラファは、毎日、爆撃にさらされている。国連(UN)の推計によると、これまでにガザの住人240万人のうち、190万人が避難民となった。

 新郎新婦とその家族も、北部からラファに逃れてきた。

「平時のような結婚式の準備はできなかった。伝統的な儀式も無理だった」とモハメドさんは言う。「ただ衣装は品薄で高かったが、手に入った」

 式場となったのは、国連(UN)が運営する、今は使われていない学校の小さな部屋。アフナンさんは、頭に花の冠を乗せ、赤い刺しゅうが施された白いドレスに身を包んでいた。

 アフナンさんと新婦のムスタファ・シャムラフさんは、貴重な祝いの機会をできるだけ楽しもうとしていた。笑顔で踊り、招待客は部屋中に白いムースをまいた。

 花婿のおじ、アイマンさんによると、新郎新婦の住むはずだった家は破壊されてしまった。

 イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)との戦闘が長引く中、両家は結婚式を先延ばししても無意味だと考えるようになり、開催に踏み切った。

 廃校での式後、新婚夫婦はテントで行われる披露宴に向かった。そして大勢に見送られ、黒塗りのSUVに乗り込み式場を後にした。その様子は平時の結婚式と変わるところはなかった。

 アイマンさんは「私たちは皆、同じ悲劇を経験している。でも生き続けなければならない。人生は続くのだから」と話した。(c)AFP