【1⽉16⽇ Peopleʼs Daily】中国が新型コロナウイルス感染症対策を大きく変更したのは2023年1月8日だった。規制を大幅に緩和したことは、外部にとってすれば驚きでもあった。中国はどのような根拠に基づいて対策を変更したのか。ここで改めて振り返ってみよう。

 中国政府の担当部門である国家衛生健康委員会(衛健委)が対策の変更を発表したのは2022年12月26日だった。中国は感染症を危険度に応じて甲、乙、丙に分類している。衛健委は新型コロナウイルス感染症への対応を、それまでの「乙類甲管」から「乙類乙管」に調整するとした。つまり分類としては乙類に据え置くが、対策は「甲」から「乙」に緩和するということだった。その理由としては、感染症の経済や社会に対する影響を最小限にするとした。

 変更の根拠としてはまず、同時点で主流になっていたオミクロン株は中国国内でも国外でも、それまでの株と比べて感染力と毒性が著しく弱まっていることが確認されたとした。

 一方で、中国では2022年末時点で、ワクチンの接種回数が累計34億回以上に達しており、人口の92%以上に接種経験があった。さらに医薬品の供給能力が向上し、意識や知識の向上で国民の「自衛力」が強化されたとした。

 衛健委の関連専門家チームの梁万年(Liang Wannian)チーム長は当時の判断について「作業の重点はそれまでの感染の予防と抑制から、医療と救急治療に移す。作業の目標は健康維持と重症化防止であり、対策変更の移行期における安定と秩序を確保する」ことだったと説明した。特に高齢者や基礎疾患がある人についてはワクチン接種や感染した場合の速やかな救急治療を重視して、重症化や死亡を最大限に減らさねばならないとされたという。

 2022年年末の時点では、発熱診療科の診療需要の増加が比較的速く、需給のバランスの崩れが比較的深刻な状態がしばらくは続くと考えられたが、医療を必要とする人の増加率は安定しており、対応は安全で制御可能な範囲にあると判断された。また、患者の状態に応じて医療資源の投入に区別を設けることや、インターネット医療サービスを強力に推進する方針も定められた。

 北京市や上海市、安徽省(Anhui)、江蘇省(Jiangsu)、山東省(Shandong)などでは、新型コロナウイルス感染症の比較的軽症である大勢の患者に対応するために新設された「方舟病院」や体育館などを利用して臨時発熱診療科を設けて、対応力を大幅に向上させた。また各地で中央政府の要求に基づいて、患者のそれぞれの状態に対応する医療機関の整備が改めて行われ、医療従事者への研修なども実施された。

 関連部門はさらに、医薬品の十分な供給と公平な提供を保障するために、あらゆる手を尽くして企業の迅速な生産能力拡大を促進して供給を拡大するとともに、医療機関の需要を優先して満たし、一部地域の薬品の緊迫問題をできるだけ早く緩和することに努めた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News