【1月9日 AFP】サッカーフランス代表のレジェンドで、イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)などで活躍したティエリ・アンリ(Thierry Henry)氏(46)が、輝かしい選手生活の中でうつ症状に苦しんでいたことを明かした。

 仏代表としてW杯(World Cup)を制し、アーセナルの歴代最多得点記録を保持するアンリ氏はポッドキャスト番組で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)時には「ほぼ毎日」涙を流し、精神衛生上の苦悩を痛感したと述べた。

 アンリ氏は自身のうつ症状を、自身の過去や、若かったころの選手としてのパフォーマンスについてしばしば批判的だった父親からの承認欲求と結び付けている。

 アンリ氏は「キャリアを通して、そして生まれてからずっとうつの中にいたに違いない」とし、「それを知っていたかといえば、ノーだ。何かをしたかといえば、ノーだ。でもある方法で適応した。だからといってまっすぐ歩いているわけではなかったが、それでも歩いていた。片足を(前に)出して、もう片方も出して、歩く。若い時からそう言われてきた」と述べた。

「歩みを止めることはなかった。でも、コロナ(のパンデミック)になって歩みを止めた。歩めなかった。そうしたら(うつに)気付くようになった」

 パンデミック時にアンリ氏は、米メジャーリーグサッカー(MLS)のモントリオール・インパクト(Montreal Impact)で監督を務めていた。

「モントリオールで孤立し、1年間子供たちに会えなかったのはつらいものだった。涙が出てきた。なぜだかわからないが、多分とても長い間(うつが)あったんだと思う。厳密には、それは僕ではなく、若い僕だった。自分が得られなかったもの、認められなかったもののために泣いていた」

 現在U-21仏代表の指揮官を務めるアンリ氏は、父親から「素晴らしいサッカー選手」になることを生まれたときから望まれていたと話し、「小さい頃はいつも『お前はいつもうまくできていない』と言われていた。頻繁にその言葉を聞くと、もちろんそのことがずっと残ってしまう」と続けた。

「(その言葉が)アスリートとしてはある程度役には立ったけれど、人間にはあまり役立たなかった」 (c)AFP