中国の新エネルギー車、約44%がオンラインで購入
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【12月30日 東方新報】11月の1か月間に、中国で販売されているテスラ(Tesla)の電気自動車(EV)が4回も値上げされたと話題になっている。テスラ中国の公式ウェブサイトによると、モデルYロングレンジの価格は30万6400元(約610万円)。年初の価格は26万元(約518万円)前後であり、大幅な値上げである。
テスラは全世界のEV市場でシェアトップを走るが、中国大手の比亜迪(BYD)に猛追されている。7~9月期のテスラのグローバル販売台数は世界首位の43万5000台だったが、BYDは43万1600台と肉薄している。
中国市場でも苦戦気味だったテスラは、消費者に「値下げ待ち」の傾向がみられるようになったことから、新モデル投入に合わせて、値上げ路線を打ち出したといわれる。ブランドイメージを上げていく戦略に転じたわけだ。
突然の値上げは消費者にインパクトを与えたが、戦略の大転換が吉と出るか凶と出るか。いずれにせよ中国の各メーカーが注目する「実験」になっていることは間違いない。
忘れてならないのは、テスラが短期間に何度も価格改定を実施できた理由である。正規ディーラーや販売店を通して販売している場合は、販促費や保証サービスのコストなどを考慮する必要があるが、自社のECサイトで販売しているだけなら価格変更は圧倒的に簡単である。
中国メディアによると、中国では今年、EVなど新エネルギー車を購入した人の約44パーセントがオンライン経由だった。その理由を聞くと、「価格の優遇があるから」との回答が最も多かった。オンラインでの平均購入額は21万4900元(約428万円)で、オフラインでの平均購入額は22万2500元(約443万円)だった。
それにしても、1台600万円もするテスラをネットで購入する人がこれほどいるというのは驚きだ。中国のSNS上で検索すると、日本語のネットスラングである「ポチる」という意味の「拍了(パイラ)」という表現でEV車の購入を報告する投稿があった。やはりネット上で購入する人はいるのだ。
テスラ中国の公式ホームページを開くと、米国や日本と同じように、ネット上だけで購入することができる仕様になっていた。モデルYとモデル3は、納車まで「2~6週間」という表示が出ている。タイヤやホイールなども購入できる。まるでプラモデルの部品を購入する感覚である。
テスラだけでなく、中国の各EVメーカーはオンライン販売に力を入れている。消費者がどのような製品に興味を持っているか、自社のECサイトの表示回数やクリック回数から直接データを得ることができるのは大きなメリットだ。
業界では「テスラの値上げが成功すれば、他の中国メーカーも追随する可能性がある」といわれる。
テスラがさらなる値上げに踏み切るかどうか。値上げが続くようなら、販売戦略の転換が成功している可能性がある。世界のEV市場でのシェア争いの行方を左右する値札から目が離せなくなってきた。(c)東方新報/AFPBB News