【12月27日 AFP】ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏は26日、北極圏の刑務所に20日かけて移送されたことで「かなり疲れた」が「元気だ」との声明を発表した。

 ナワリヌイ氏の所在は2週間以上分からなくなっていたが、支持者は25日、現在はロシア極北の刑務所に移送され、弁護士が訪ねたと明らかにした。

 ナワリヌイ氏は「北極のオオカミ」と呼ばれる刑務所に到着した後、「私のことは心配しないでくれ。私は元気だ。やっとたどり着いたので、ほっとしている」とX(旧ツイッター)に投稿。

「サンタクロースらしく、朗らかな気分だ」とし、シープスキンのコートと毛皮の帽子といういでたちと、移送中に伸びた無精ひげについてジョークを飛ばした。

 極北地域の矯正当局のウェブサイトによると、この刑務所は1960年代、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)時代の強制労働収容所「グラグ(Gulag)」の一つの跡地に建設された。定員は1020人で、受刑者はトナカイの皮を処理する作業をさせられる。

 また、ロシアの囚人移送は、列車で遠く離れた施設への移動となるため、場合によって数週間かかることもある。

 ナワリヌイ氏がこれまでにいた刑務所と大きく違う点の一つは、郵便が届くまでの日数がはるかに長いことだ。

 ナワリヌイ氏はXで、ヤマロ・ネネツ(Yamalo-Nenets)自治管区ハルプ(Kharp)にある刑務所に到着したのは23日で、弁護士は25日に訪ねてきたと明らかにした。

「1月半ばまで発見されないと思っていた」とし、雪に覆われた隣の監房が庭代わりに使用されていること、自分の房の窓の外にフェンスがあること以外、周囲の様子はほとんど分からないと説明している。

 ハルプは、モスクワから北東に1900キロ以上離れた北極圏に位置する。ハルプは先住民族ネネツ人の言葉で「オーロラ」を意味し、真冬は極夜で日中でも薄暗い。

 ナワリヌイ氏は、窓から見えるのは「夜、夕、そしてまた夜」だと表現。

「残念ながらトナカイはいないが、毛がふさふさした、大きくてとても美しいシェパードが何頭もいる」と投稿している。

 ハルプの気温は今後数日間、氷点下26度まで下がると予想されている。(c)AFP