【12月26日 AFP】イラン革命防衛隊(IRGC)は25日、イスラエルがシリアをミサイル攻撃し、ラジ・ムサビ(Razi Moussavi)上級軍事顧問が殺害されたと発表した。イランは報復を表明しており、イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の戦闘が続く中、中東情勢は一段と緊迫化する恐れがある。

 ムサビ氏は、IRGCの精鋭「コッズ部隊(Quds Force)」の顧問。同部隊のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官も、2020年1月3日にイラクの首都バグダッドで米軍の無人機攻撃により死亡している。

 国営イラン通信は、ムサビ氏はシリアの首都ダマスカス郊外のサイイダザイナブ(Sayyida Zeinab)地区でイスラエルの攻撃を受け、殺害されたと報道。同氏について、シリアでイスラエルに対抗する親イラン勢力「抵抗の枢軸」への後方支援に携わっていたとしている。

 イランのホセイン・アクバリ(Hossein Akbari)駐シリア大使は、自国のメヘル通信に対し、ムサビ氏の自宅が「25日午後4時20分に3発のミサイル攻撃」を受けたと説明。家屋が破壊され、庭で遺体が見つかったとしている。

 イブラヒム・ライシ(Ebrahim Raisi)イラン大統領は哀悼の意を表すとともに、イスラエルに「この代償を必ず払わせる」と言明した。

 イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)は、ムサビ氏について、数十年にわたり同組織を支える存在だったとし、「今回の暗殺は一線を越えた違法攻撃だ」と非難した。

 イスラエルは、ハマス掃討作戦を開始して以来、シリアと、特にヒズボラへの攻撃を強化しているが、現時点で声明を出していない。(c)AFP