韓国での火葬率の推移(c)MONEYTODAY
韓国での火葬率の推移(c)MONEYTODAY

【12月24日 KOREA WAVE】韓国で死者が増えている。高齢化が進んだ韓国社会の自然な結果だ。しかし、死に関心を持つ人は多くない。現場からの報告を通じ、死について考えたい。

◇「火葬できない」消える3日葬

新型コロナウイルス感染拡大の中で起きた「火葬危機」が日常化しつつある。火葬場の不足と高齢化の影響で、ソウルなど首都圏では3日後に火葬する「三日葬」を営みたくても、なかなか火葬できない状況が起きている。「多死社会」を迎え、問題は一層深刻化している。

MONEYTODAYが入手した韓国葬儀文化振興院の「火葬統計」によると、先月、ソウル所在の火葬場で営まれた火葬のうち、死後3日目の実施は25.5%にとどまった。統計の根拠としたのは、保健福祉省の「eハヌル商売情報システム」だ。葬儀文化振興院の関係者は「3日目の火葬率を除くと、ほとんどが4日目の火葬だ」と語る。4人のうち3人は、仕方なく4日目に火葬をしているのが現実だ。

◇「感染症の状況でもないのに…」

先月から危機が本格化した。

火葬場2カ所を運営するソウルでは、先月の「3日目火葬率」は▽1週目45.7%▽2週目13.1%▽3週目39.4%▽4週目17.3%――だった。

毎週状況が変わったのは、火葬炉の稼働時間を増やしたことによる影響だ。しかし、11月最終週の先月27~30日、ソウルの3日目の火葬率は7.6%にとどまった。

これは昨年3月、新型コロナの影響で、全国的な「火葬危機」が発生した時と同様の水準だ。当時、ソウルの3日目の火葬率は5.6%だった。

ソウル市立昇華院追慕施設運営処長のハン・ウヒ氏は次のように話している

「わずか数カ月前までは火葬炉稼働時間を2時間増やす臨時運転を6~7日程度実施すれば、3日目の火葬率が60%程度まで上がってきた。最近は臨時運転日数が長くなっている」

京畿道(キョンギド)の状況もさほど変わらない。火葬場4カ所を運営する京畿道の先月3日目の火葬率は48.8%だった。

仁川の先月3日目の火葬率は62.5%で、首都圏の中では状況が良い方だ。

首都圏全体の先月3日目の火葬率は42.4%、全国平均は63.7%だった。

◇慢性的な火葬場不足問題

ソウルなど首都圏の火葬供給が円滑に進んでいないという事態は予想できたことだ。

ソウルの火葬場は、ソウル市立昇華院とソウル追慕公園の2カ所しかない。京畿道の火葬場も水原(スウォン)と城南(ソンナム)、龍仁(ヨンイン)、華城(ファソン)の4カ所に過ぎない。

仁川の火葬場は1カ所だ。

全国に火葬施設は計61カ所あるが、首都圏には韓国の人口の半数以上が集まっているのに、火葬場は7カ所に過ぎない。

火葬場の不足は一時的な現象ではない。

統計庁の将来人口推計によると、2020年に30万8000人だった死亡者が、2025年には34万5000人に、2030年には40万8000人に増えるとみられる。

2005年に初めて50%を超えた火葬率は、昨年91.7%まで急上昇した。高齢化で死亡者が増え火葬率が上がる状況で、火葬場は「嫌悪施設」という烙印を押され、新・増築も困難になっている。

葬事法で規定した地域の火葬場供給の責務は、地方自治体首長に課されるものだ。だが、火葬場の拡充に積極的に乗り出す首都圏の広域自治体首長は見当たらない。

葬儀文化振興院長のコ・チボム氏は「首都圏の葬儀場設置が進展しない状況で、より積極的な対応を取らなければ、2~3年内に5日葬が日常化する状況になりうる」と語った。

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