【12月22日 AFP】フランスで2016年12月に日本人留学生の黒崎愛海(Narumi Kurosaki)さん(当時21)が行方不明になった事件の控訴審判決で、フランスの裁判所は21日、殺人罪に問われたチリ人の元交際相手、ニコラス・セペダ(Nicolas Zepeda)被告(33)に対する禁錮28年の一審判決を支持し、被告の控訴を棄却した。被告の弁護人は即刻、最高裁に当たる破棄院に上告する方針を示した。

 判決公判では、うなだれて立つ被告に対し、裁判官が「計画的殺人の罪で有罪とする」と言い渡した。

 セペダ被告は今月開かれた控訴審で、一貫して無罪を主張していた。被告はフランス語が堪能だが、事件の多くの点についてしばしば説明に苦労しているように見え、詳細についてうそをついたことを認めた。

 被告は21日朝の最終陳述でも「私は確かに理想の自分とはほど遠い。だが、人殺しではない」と訴えた。判決言い渡し後には涙ぐんでいるようにも見えた。

 黒崎さんは2016年の夏、フランス語を学ぶために仏東部ブザンソン(Besancon)へ留学。同年12月4日に消息を絶った。直前に会っていたのが、その2か月前に別れたセペダ被告だった。

 検察は、セペダ被告が首を絞めるなどして黒崎さんを窒息させて殺害し、遺体を森か近くを流れるドゥー(Doubs)川へ遺棄したと主張した。

 公判では黒崎さんの母親と2人の妹が、遺体すら見つかっていない苦しみを語る場面もあった。

 控訴審は一審判決を支持するとともに、セペダ被告に対し、黒崎さんの遺族に22万ユーロ(約3400万円)の損害賠償を支払うよう命じた。

 セペダ被告は服役後、フランスへの入国を禁止される。(c)AFP