【12月21日 AFP】フランスの上下両院は19日、移民に対する規制を厳格化する新移民法案を可決した。同法案をめぐっては一部閣僚が辞任するなど政権・与党内に亀裂が生じる事態となったが、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は必要な「盾」だとして擁護した。

 新移民法では、外国人への社会保障給付は5年以上の滞在者(就労者の場合は2年半以上)に制限される。移民受け入れ枠の導入や、二重国籍の犯罪者から仏国籍を剥奪するなど、移民規制の強化につながる内容となっている。

 法案採決では、与党勢力251人のうち約4分の1が反対もしくは棄権。オレリアン・ルソー(Aurelien Rousseau)保健相は、法案可決を受け辞任した。

 マクロン氏は20日、公共放送「フランス5」の番組で、フランスは「移民問題」に直面しており、新移民法は不法移民を減らし、合法移民の統合を促進するため必要だと強調。「必要な盾だ」と述べた。

 採決では、極右のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏率いる「国民連合(RN)」が賛成に回った。RNの賛成を得て可決にこぎ着けた形で、一部メディアは「死のキス」と形容。極右のジャンフィリップ・タンギー(Jean-Philippe Tanguy)議員は、「マリーヌ・ルペンの主張が完全な勝利を収めた」と語った。

 保守系紙フィガロは「移民法は深い傷痕を残すだろう」と指摘。一方、左派系紙リベラシオンは、マクロン氏の与党にとって「道義的な敗北」となったと伝えた。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO and Jurgen HECKER