【12月20日 AFP】イスラム教国マレーシアのイスラム開発庁(JAKIM)は18日、イスラムの戒律に沿った「ハラル」認証を取得しているベーカリーがクリスマスケーキに「メリー・クリスマス」のメッセージを入れても問題はないとの見解を発表し、2020年の従来の方針を撤回した。

 JAKIMのハラル規則について記したベーカリー・チェーン、ベリーズ(Berry's)の社内メモが先週末からネット上で拡散されていた。メモは、「クリスマスが近づいているが、メリークリスマスやXマスの文字をケーキに使用することは、たとえ客からの注文であったとしても厳禁とする」として、代わりに「時候のあいさつ」の飾りを使うよう指示する内容だった。

 この方針についてあるフェイスブックのユーザーは、「ケーキにメリークリスマスという言葉が使われていたら、店内の他のすべてのケーキも非ハラルになるのか。すべての文化を尊重してほしい」と投稿した。

 こうした声を受け、JAKIMは「マレーシアのハラル認証を取得している事業者が、注文を受けたケーキなどにお祝いのメッセージを書くことに何の問題もないことは明らかだ」と発表。ベリーズのメモの画像を添えて、「2020年の以前の声明はもはや適用されない」と述べた。

 また、ハラル認証の手続きに関する事項を「見直す」考えを示した。

 ベリーズの担当者は19日、匿名でAFPの取材に応じ、メモは「社内で使用するためのものだった」と説明。「現在はジャキムの指針に従っている」として、クリスマスメッセージもケーキなどに入れることができると話した。

 マレーシアは人口約3400万人。マレー系、中国系、インド系などで構成される多民族国家。約3分の2がイスラム教徒で、キリスト教徒は約10%。

 同国はハラル製品の国際見本市を定期的に開催しており、世界のイスラム教徒の需要に応えるハラル認証に関して世界のリーダーとしての地位を確立している。(c)AFP