【12月17日 AFP】米国の療法士エリック・リラ(Eric Lira)被告が選手に運動能力強化薬を提供した問題で、五輪に出場した英国代表の陸上男子選手1人が新たに調査対象になっていると、16日に英紙タイムズが報じた。

 同紙によれば、陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」が調査を行っているという。

 リラ被告は、女子短距離ナイジェリア代表のブレッシング・オカグバレ(Blessing Okagbare)選手らに薬物を提供していた罪を認めており、禁錮刑を科される可能性がある。被告には、ロシアによる国家ぐるみのドーピングスキャンダルを受けて2020年に制定された「ロドチェンコフ反ドーピング法(Rodchenkov Anti-Doping Act)」が個人として初めて適用されていた。

 オカグバレ選手は東京五輪の大会前の検査で陽性反応を示し、100メートル準決勝を前に大会から追放され、その後10年間の資格停止処分を受けた。

 今回調査されている英国の選手は、米ニューヨーク州南地区の連邦検事が裁判官に提出したとされる書類で「選手3」として挙がっている。具体的な選手名は明らかになっていない。他にスイスの選手も言及されており、「選手1」はオカグバレ選手だとみられている。

 書類では「リラ被告からPED(運動能力強化薬)を受け取っていたのは、選手1だけではない。被告は別に、英国を代表して出場した第3の五輪選手(選手3)とも2021年夏、PEDを提供する目的で何度か会った。つまりリラ被告が米国内を移動して薬を提供、投与した五輪選手は複数いる。いずれもねらいは東京五輪での結果に影響を与えることだった」と述べられている。

 英国陸上競技連盟(UKA)は現時点でコメントを拒否している。(c)AFP