【12月8日 AFP】南米ベネズエラは7日、石油資源が豊富なエセキボ(Essequibo)地域をめぐり関係が緊迫化している隣国ガイアナと米国の合同軍事演習が発表されたのを受け、「挑発行為」だと非難した。

 エセキボ地域は、ガイアナが100年以上にわたって実効支配しているが、ベネズエラも領有権を主張している。2015年に米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)が同地域で油田を発見して以来、対立は激化している。

 ベネズエラのブラディミル・パドリノ・ロペス(Vladimir Padrino Lopez)国防相はX(旧ツイッター)で、「ガイアナでのエクソンモービルの利益を図る米国によるこの不穏当な挑発は、誤った方向への新たな一歩だ」と批判。「わが国はエセキボ地域の回復へ向けて、今後も行動する」と付け加えた。

 エセキボ地域は、ガイアナ領の約3分の2を占め、同国の人口80万人のうち12万5000人が居住している。

 今年8月にガイアナがエセキボ地域の石油鉱区の競売を開始したことを受け、ベネズエラは領有権をめぐる国民投票を実施。95%が同地域をベネズエラ領とすること賛成した。

 独裁色を強めるベネズエラの反米左派、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)政権に警戒を強める米国は7日、「ガイアナで航空作戦」を実施すると発表。在ガイアナ米大使館は「安全保障協力体制を強化するための日常的な活動と作戦」の一環だと説明した。

 ガイアナは7日、ベネズエラ国境近くの山岳地帯で前日行方不明となっていた軍のヘリコプターが見つかったと発表。イルファーン・アリ(Irfaan Ali)大統領はインスタグラムで、搭乗していた兵士7人のうち5人が死亡したと述べた。ガイアナ軍が、調査を開始している。同軍は不明当日、ベネズエラの関与を「示唆する情報はない」としていた。

 オランダと英国の植民地だったガイアナは、1899年の仲裁裁定でエセキボ地域はガイアナ領と認められたと主張している。だがベネズエラは、1777年から同地域の東を流れるエセキボ川が自然的国境として認められていると主張している。(c)AFP/Denis Chabrol with Margioni Bermudez in Caracas