【12月5日 AFP】フランスで2016年12月に日本人留学生の黒崎愛海(Narumi Kurosaki)さん(当時21)が行方不明になって7年となる4日、殺人罪に問われているチリ人の元交際相手、ニコラス・セペダ(Nicolas Zepeda)被告(32)が控訴審の初公判で「私は殺していない」と無罪を主張した。

 検察は一審で、セペダ被告は黒崎さんとの別れを受け入れられず、ブザンソン(Besancon)を訪れて学生寮の部屋で黒崎さんを殺害した後、ジュラ(Jura)山地の森に遺体を遺棄したと主張し、目撃者の証言や電話の通話記録、セペダ被告が借りたレンタカーの位置情報を証拠として提示。セペダ被告は昨年4月、一審で禁錮28年を言い渡された。

 黒崎さんの遺体は見つかっていない。

 セペダ被告は東部ブズール(Vesoul)の裁判所で開かれた控訴審で、「私は愛海を殺していない」と勾留中に学んだフランス語で主張した。

 さらに、黒崎さんの母親と妹2人を含む満員の傍聴席の前で「起訴事実を全力で否認する」「本当の悪夢だ」と訴える一方で、「彼女の家族の大きな悲しみを忘れることはない」と述べた。

 黒崎さんの家族の弁護士、シルビー・ガレー(Sylvie Galley)氏は会見で、「家族がきょうこの場所にいる理由はただ一つ、愛海さんを追悼するためだ」と説明。「家族は、セペダ被告が事実を明らかにしたり、真実を告白したりすることを全く期待していない」と語った。(c)AFP