【12月4日 東方新報】中国の動画投稿アプリ「抖音(Douyin)」は最近、ユーザーの権利保護のため、悪質なグループが複数のアカウント(「大小行列アカウント」)を使用して、劣悪かつ低品質で、違法なコンテンツを組織的に投稿し、相互に誘導する手法で不当な利益を得る行為に対する新たな規則を発表している。

 今後「抖音」と同じ親会社が運営する動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」にも適用が進むのかどうか、注目されている。

 新しい規則には、不当な利益獲得が目的の「矩陣号(マトリクスアカウント)」を発見した場合、ただちに全ての関連アカウント(大小マトリクスアカウント)に対し厳しく対処する旨が明記されている。

 この規則に従い、複数の百万人規模のフォロワーを持つアカウントやマトリクスアカウントに対し、すでに厳しい処置が下され始めている。「抖音」は「違反したマルチチャンネルネットワーク(MCN)機構を強制的に退会させ、公安機関と協力して犯罪グループを摘発し、157人の容疑者を逮捕した」と発表した。

 抖音安全センターの責任者は「最近、ブラックマーケット組織が複数の『小アカウント』を使い、低品質な投稿の繰り返し、フォロワーや『いいね数』の水増し、頻繁なフォローや『いいね送信』などの方法でユーザーの注目を集め、その後ユーザーをマトリクスアカウント内の『大アカウント』に誘導して急激にフォロワー数を増やし、最終的には『大アカウント』でのさまざまな収益化行為によって不当な利益を得ている」と説明している。

 また、「たとえ『小アカウント』が違反行為で処罰されても、再び新しい『小アカウント』を登録して操作を続け、表向きは合法で処罰を受けていない『大アカウント』にユーザーを継続的に誘導する状況が発生している」という。

 新規則は「多くのユーザーが、これら不当な行為によって劣悪なまたは違法なコンテンツに接触し、詐欺のリスクに晒される可能性がある。また、コンテンツのクリエイターにも悪影響を及ぼし、正規の高品質なコンテンツのスペースを圧迫する問題がある」と警告している。

 規則の試行期間中、「抖音」は特別巡回査察を行い、取り締まった一連の事例を公表した。その中には、マトリクスアカウントを駆使し小アカウントで低俗なコンテンツを投稿していたグループがプラットフォームによって封鎖された後、また別の新しいマトリクスアカウントを登録し、違反行為を続けようとした事例があった。なんとこのグループの総フォロワー数は、70万人を超えていた。

 また、無資格のグループによる医療関連のマトリクスアカウントが、やはり複数の小アカウントを使って、医療相談のコンテンツを投稿してユーザーを大アカウントに誘導し、オフラインで違法な医療相談を行うという事例もあった。調査の結果、このグループのマトリクスアカウントは30を超えていた。

 さらに、ある地方の「産後ケアセンター」では、40を超えるアカウントを大量登録し、大アカウントが動画を投稿すると、小アカウントがその動画に対してなれ合いの「いいね」を集中的に投稿し、ユーザーをその「産後ケアセンター」に誘導するという手口も発見された。

 この新たな規則は12月1日から正式施行となっている。

「不当な利益獲得が目的の悪意のアカウントとその行為を今後も継続的に撃退し、より多くの高品質なオリジナルコンテンツをユーザーの皆さまに提供したい」、先の抖音安全センターの責任者はこのように強調している。(c)東方新報/AFPBB News