【12月4日 AFP】フランス領ポリネシアのタヒチ(Tahiti)で行われる2024年パリ五輪のサーフィン競技について、ポリネシアのモエタイ・ブロテルソン(Moetai Brotherson)行政長官が2日、会場に新たに造られる予定となっている審判用タワーの安全性とサンゴへのダメージを不安視し、同地での開催に懸念を示した。

 タヒチのサーフィン会場では1日、新しいタワーの建設に使う予定の作業台船で追加のテストが行われ、サンゴがさらに破壊される様子が環境団体によって撮影された。

 ブロテルソン氏は地元テレビに対して「きょうはサンゴを破壊し、あしたは古い設備を使えば人々の命を危険にさらすかもしれない」と話し、「最終的に解決策を見いだせなければ、チョープー(Teahupoo)でのサーフィン競技の実施に疑問符をつけざるを得ない」と続けた。

 同氏が視察予定だったテストと4日のタワーの建設開始は中止になった。唯一の手段として既存の木製のタワーを使うことも考えられるが、ブロテルソン氏は「古い土台や古いタワーを再利用するのは不可能だ」とコメント。また立候補の書類に記載されているのはチョープーのため、タヒチの別のビーチへ会場を変更するのも難しいという。さらに、フランス本土への会場変更には数百万ユーロの費用が生じる。

 現地の建設担当者は「技術的な解決策はある」と自信を見せ、「新しいタワーと土台が唯一の道だ」と発言。「それがうまくいかなかったら、全員が次の対応を自問しなければならない」と話した。

 この件をめぐっては、アルミ製の新タワーの計画に反対するオンライン署名に16万人以上からの賛同が集まり、現地でも数百人が抗議を行った。サーフィン界のレジェンドであるケリー・スレーター(Kelly Slater)も建設に反対している。(c)AFP