【11月26日 AFP】スペインの動物愛護団体と当局が、パデルのガラス張りのコートに鳥がぶつかって数多く死んでいると警鐘を鳴らしている。

 パデルはテニスとスカッシュを合わせたようなスピード感が魅力のスポーツで、スペインでは高い人気を誇る。コートは基本的にガラスの壁で囲まれ、選手はそこでボールをバウンドさせることができる。

 しかしスペインの保護団体「SEO/Birdlife」は、最近始めた啓発キャンペーンで、パデルコートのようなガラスの構造物は、非常に目のいい鳥にとっても「脅威だと認識できない障壁」であり、その結果、よくコートの壁にぶつかっていると警告している。

 ツバメなどの死骸がコートのそばで見つかることも多い。特に影響が大きいのは若い鳥で、パデルコートは郊外や村などの自然の豊かな場所にあることが多いため、「渡りの時期には問題が悪化する」という。

 この件では活動家が近年、複数の裁判を起こしており、当局も、パデルコートが9月から施行された新しい動物福祉法に違反するかを調査している。当局が各地方の担当に送った書簡では、新法の下では動物に対する不当な扱いは犯罪とみなされると指摘され、管轄団体に必要な対策を講じさせるよう求められている。

 解決策の一つが、ステッカーやネットを使って透明なガラスの壁を視認しやすくすることで、保護団体によれば、東部バレンシア(Valencia)で試験的に導入したところ効果があったという。

 1960年代にメキシコで生まれたパデルは、近年とりわけ成長著しいスポーツで、中でもスペインはプロパデルの中心とされており、国民のおよそ1割に当たる約400万人がプレーしている。

 コンサルティング・グループ、デロイト(Deloitte)によれば、スペイン国内には1万5300か所、世界全体では4万か所のコートがあるとされている。(c)AFP