【11月15日 AFP】アイスランド南西部の町で、火山噴火の恐れがあるとして住民に避難指示が出されている。当局は13日、住民に自宅への一時帰還が認められたと明らかにした。

 約4000人が暮らすグリンダビク(Grindavik)では、地下でマグマが広がっており、地震が続いている。複数の専門家が火山噴火の可能性を警告し、11日未明に避難指示が出された。

 アイスランドには33の活火山がある。当局は非常事態を宣言し、近隣の町に避難所と支援センターを開設した。

 AFP記者は首都レイキャビクから南西へ40キロ離れたグリンダビクで、地震活動により道路や建物に被害が出ている様子を目にした。

 警察や市民保護当局が警戒に当たる中、住民は貴重品を取りに数分間だけ自宅に戻ることが許された。

 AFP記者によると、住民は家具や絵画などを車いっぱいに積んで持ち出していた。中には、羊を運び出している人もいたという。

 ある住民は12日、「絶望し、気が動転し、悲しんでいる。自分の家を築こうと費やしてきた時間や労力を思うと、ただ悲しい」と話した。

 英ランカスター大学(Lancaster University)の火山学者、デービッド・マッガービー(David McGarvie)氏は、こうした避難はまれだと話す。

 マッガービー氏によると、「アイスランドで大規模な集落全体が避難したのは、50年前の1973年にヘイマエイ(Heimaey)島で起きた噴火以来」だという。

 グリンダビクは、ファグラダールスフィヤットル(Fagradalsfjall)火山があるレイキャネース半島(Reykjanes Peninsula)に位置している。

 ファグラダールスフィヤットル近郊では、2021年3月、22年8月、23年7月に噴火が発生。ただし、いずれもインフラ施設や市街地から離れた地点だった。

 映像は13日撮影。(c)AFP