【11月9日 東方新報】中国・上海市の「上海国家会展センター」で11月5日から10日まで、第6回中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)が開催された。今回参加した日本企業は350社、参加企業総数の10%以上を占め、中国企業に次いで2番目、外国企業の中では最多参加数だった。

 日本企業は輸入博ではずっと目を引く存在だった。2018年の第1回博覧会以来、主催者側として唯一指定を受けている日本企業の海外展開支援組織「日本貿易振興機構(JETRO)」の上海事務所は、毎年多くのJETROブースを確保して数百社の日本企業に参加を求め、中国の消費者に日本の高品質な製品や生活スタイルを紹介してきた。毎年JETROブースは日中の経済関係と日本製ブランド商品の中国市場における動向を測る風向計の役割を果たしてきた。

 今年6回目の参加となるJETROは、合計150社の日本企業を組織し、650種類を超える日本製品を展示した。JETROの展示エリアは「食品館」と「消費品」の二つ区画に分けられ、その中でも食品館の「日本酒品評会」は、第1回博覧会以来毎年、最もホットなイベントになっている。

 食品館を取材した11月7日、日本酒の展示スペースが今までより工夫がこらされている様子を見た。なんと酒類の「無料試飲コーナー」まで用意され、日本の清酒、焼酎、ウイスキー、梅酒など170種類を超える酒類が並べられていた。今年の酒類の展示数は昨年の3倍だという。

 食品館の入場客は試飲カップを持ちながら自由に場内で試飲が楽しめ、そこには4人の日本酒ソムリエが居て、日本酒へのさまざまな質問に答え、日本酒好きの入場客に十分に日本酒を堪能してもらっていた。

 JETROの消費品の区画にはキャンプ用品が中央の大きなスペースに展示されていた。来客は自由にキャンピングチェアに座り一休みすることができ、展示者からコーヒーもサービスされる。

 昨年のJETRO消費品区画では化粧品と健康サプリメント商品が目立っていたが、キャンプ用品も初お目見えを果たしていた。そして今年はなんとキャンプ用品が主力となり、出展企業は昨年の3社から12社に増え、その中にはアウトドア用品のトップブランド「スノーピーク(Snow Peak)なども入っていた。取材によれば、JETROは現在「ビッグアウトドア」のコンセプトを打ち出しており、キャンプのほか、サイクリング、スノースポーツ、「ペットと一緒にお出かけ」にも力を入れているという。

 昨年の博覧会で有名になった日本のアウトドア・ブランドの中には、今年初めて中国に実店舗をオープンさせたところもある。JETRO上海事務所の水田賢治(Kenji Mizuta)所長は取材に応じ、「今年私たちは展示商品を意図的に絞り込み、アウトドアというテーマに的を当てた『合わせ技』スタイルの展示戦略を採りました。一つには、中国のアウトドア産業の市場規模が25年には3兆元(約62兆1525億円)に達すると予想されていること、もう一つは、この博覧会で自社の特色をアピール出来なかったような企業は、中国で買い手の注目を集めることは困難だという考え方に立っています」と説明する。

 水田氏は「今年の博覧会では、現場でのショーイベントが減った一方、体験イベントが増えています。パンデミック終息後の初の博覧会として、私たちは現場体験イベントに多くの力を注ぎました」と話す。

「輸入博に参加して6年、毎年中国市場の最新動向の把握とイノベーションの追求に力を入れています。一つは、中国の消費者の嗜好の正確な把握を試み、それに見合った日本企業の出展を手配すること、もう一つは、購買者の範囲を拡大すること。上海や江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)などの政府を訪問するだけでなく、SNSメディア陣営ともタイアップして、頻繁にオンラインで、より多くの日本ブランドと買い手側とをマッチングさせる活動を進めています」とも説明している。

 JETROは国際輸入博覧会を中国における日本ブランド宣伝の重要なプラットフォームと位置付けているが、それ以外にも各種の活動に継続的に参加している。今回の輸入博終了後、JETROの全ての展示品は、中国国際輸入博「6+365日」常設展示プラットフォームに加えられ、上海市の大型総合商業施設「虹橋品匯(Hongqiao pinhui)」で長期展示されることになっている。

 また11月8日に開幕した「上海グローバル食品展(FHC Shanghai Global Food Trade Show)」でも大量の日本酒が出品されている。

「13億人の人口を持つ中国の消費力は非常に強大で、日本企業は今のところこれに匹敵する第2のマーケットを探すことはできません。中国という変化が激しいマーケットで、激烈な競争の中で、大きく、強く、自社の個性を確立すること、私はこれを日本企業と日本ブランドに絶えず提案し続けてきました。今後とも私たちは、より多くの日本ブランドを中国に紹介し続けていくつもりです」、水田氏はこのように抱負を述べた。(c)東方新報/AFPBB News