【11月11日 AFP】ダムに架かる狭い橋に止まった列車から乗客が降りてきて、自撮りをしたり、周りに広がる景色を満喫したりするのを、船乗りが一人、眺めていた。

 雨期の終わりを告げるタイ国鉄(State Railway of Thailand)の「水上列車(ロットファイ・ロイナーム、Rot Fai Loi Nam)」が4日、首都バンコクからパーサック・チョンラシット(Pasak Jolasid)ダムまでの運行を開始した。

 寝ぼけ眼の数百人の乗客が、夜明け前にバンコクのフアランポーン(Hua Lamphong)駅に集まった。

 列車はハス池、ジャングル、寺、田園を駆け抜けていく。三等車に乗った乗客が、窓から乗り出し、涼しい風を浴びながら写真を撮る。

 古都アユタヤ(Ayutthaya)では、白髪交じりの女性が乗り込んできて、綿菓子や有名なバジル炒め「パット・ガパオ」を売り始めた。

 バンコクを出発してから3時間半。十数両の客車をけん引する改修された日本の列車は、パーサック・チョンラシットダムの途中で、20分の自撮りタイムのために停車した。

 橋の下は、年の大部分は牧草地が広がっているが、「10~1月には水位が上がり、列車はまるで水に浮かんでいるようになる」と話すのは、タイに長く駐在する英国人の列車マニアで旅ブロガーのリチャード・バローさんだ。

 バローさんは、英語の案内がないため列車の存在を知らない外国人も多いと嘆く。

 母親と一緒に乗車した11歳のリリーさんは、水が「どこまでも続いてすごい」と話した。

 映像は4日撮影。(c)AFP/Lisa MARTIN