【11月7日 AFP】ベトナムで6日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているハロン湾(Ha Long Bay)と接する湾に、集合住宅が入る巨大複合施設の建設が行われていることに批判の声が相次いだ。

 熱帯雨林で覆われた石灰岩の島々が点在するハロン湾は、ベトナム有数の観光地で、昨年は700万人以上の旅行者が訪れた。

 しかし、国営ティエンフォン紙に5日、ハロン湾と壮大なカルスト地形に接するバイトゥロン湾(Bai Tu Long Bay)の水上に巨大な建設現場が広がっている写真が掲載された。

 同紙によると、プロジェクトを手掛けるドゥ・ジア・キャピタル(Do Gia Capital)は、31万8000平方メートル以上の場所に住宅とホテルの複合施設を建設している。建設現場は、世界遺産を保護する「緩衝地帯」となっているという。

 文化省遺産局の元副局長、チュオン・クオック・ビン(Truong Quoc Binh)氏は、「ハロン湾の境界が著しく侵害されている」と指摘。

 著名歴史研究者のグエン・スアン・ジエン(Nguyen Xuan Dien)氏も、世界遺産への「直接的な脅威」だとし、「石灰岩のカルスト地形が成り金のおもちゃになってしまっている」と非難した。

 こうした批判を受け、近隣のカムファ(Cam Pha)市当局は工事の中断を要請するとともに、10日までに検査を行うと発表した。

 ハロン市は急速に発展し、高級ホテルや多数の住宅、遊園地などが開発されており、湾の生態系に深刻な影響を与えている。(c)AFP