【11月2日 AFP】世界で2例目となる、遺伝子を改変して拒絶反応のリスクを抑えたブタの心臓の移植手術を受けた米国人男性が10月30日、術後約6週間で死亡した。手術を行ったメリーランド大学医学部(University of Maryland Medical School)が10月31日、発表した。

 死亡したのはローレンス・フォーセット(Lawrence Faucette)さん(58)。9月20日に移植手術を受けていた。術後の経過は当初、良好だったが、最近になって拒絶反応が認められるようになっていた。

 同大の心臓異種移植プログラム責任者のムハンマド・モヒウディン氏は「(患者が死亡に至った)要因を徹底分析し、将来の移植の際には克服できるようにしたい」と述べた。

 2022年1月にやはりメリーランド大で行われた遺伝子を改変したブタの心臓の最初の移植事例でも、患者は「体力低下など複合的要因」で2か月後に死亡している。 

 米国では現在、10万人以上の患者が臓器提供待ちの状態にある。ただ、人間の臓器提供は慢性的に不足しているため、動物の臓器移植が問題の解消につながると期待されている。(c)AFP