【2月18日 AFP】北マケドニアの都会のストレスと大気汚染に嫌気がさしたディムチェ・アツコフさんはある日、仕事を辞めて田舎暮らしを始めた。

 都会で燃え尽きていたアツコフさんはそれから約10年後の今、自然の近くで暮らすことについて人々に教えることに情熱を注いでいる。

 地元の天然素材を使って建てられた自宅は、作業場兼教室のようになっている。毎年数百人が、持続可能な暮らし方を学びに訪れる。

 アツコフさんは、かつて世界で最も汚染されていた工業都市ベレス(Veles)近郊に住んでいる。

「こうした暮らしをするためにここに来た時、何も知らなかった」と話す。その土地の自然の材料を使った建築について調べ始めたところ、そうしたワークショップは非常に高額だということが分かったという。このため、こうした家を建てる方法を習得した時には、知識を無料で共有しようと決めたと語った。

 自給自足の生活を始めた時は「くわ」が何かさえ知らなかった。

 しかし、努力は報われた。寒い冬でも暑い夏でも心地よく過ごせる土のうを使った蜂の巣形の家を建てたのだ。井戸やソーラーパネル、菜園に加え、粘土でできた冷蔵庫もある。

■「小さな変化を一つ起こす」

 アツコフさんは過去8年、実体験で得た建築の知識を共有するため40以上のワークショップを開催してきた。

 ワークショップ終了後に、「自然をこれまでとは違った目で見るようになった」と話す人も多いという。アツコフさんはAFPに「自然を破壊することはもうできない。なぜなら自分もその一部だと感じるようになったのだから」と語った。

 アツコフさんは、自然の中で暮らすことは「不便さ」を受け入れることだと信じている。

 目標は「有害なものを手放し、小さな変化を一つ起こすこと」だ。「もしきょう、数百万人がプラスチック袋を使わなければ、大きな変化が生まれる」と訴えた。(c)AFP/Darko DURIDANSKI