【10月26日 CGTN Japanese】中国南部、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の九頓天窓で今月7日に洞窟潜水をしていた、アジアの洞窟潜水深度記録保持者で、中国の著名な潜水士の韓頲さんが行方不明になりました。連日の捜索救助活動もむなしく、25日午後、韓さんの遺体は水中ロボットによって水深100メートル余りの場所から引き揚げられました。

 捜索救助活動に参加した関係者によると、韓さんの体は水深約110メートルの岩の隙間に挟まれていました。中国国内では、この水深まで潜水して捜索救助活動のできる潜水士は指折り数えるほどしかいません。これまでこの水深で発生した事故救援の多くを韓さんが担当してきました。韓さんは沈没船や水死者の引き揚げ作業に数多く参加し、2020年には広西チワン族自治区都安ヤオ族自治県にある桃花水母2号洞窟の水深143メートルの場所から潜水による水死者を引き揚げました。しかし今回は、韓さん自身に事故が起きたため、誰も引き揚げ作業を行えず、水中ロボットが使われました。

 韓さんは今年4月27日、九頓天窓で12時間30分かけて277.4メートルのアジア洞窟潜水深度記録を更新しました。世界記録の286メートルまでわずか9メートルの差でした。それ以前の234メートルのアジア記録も韓さんによるものでした。

 関係者によると、韓さんは10月12日に世界記録への挑戦を計画していて、それまでずっと九頓天窓で最後の練習をしていました。しかし世界記録に挑戦する5日前に不幸にも落命しました。

 韓さんが行方不明になってから3日後の10月10日は韓さんの47歳の誕生日でした。SNS上では多くの潜水愛好家が韓さんに奇跡が起きるのを祈っていました。訃報を受け、多くの人が悲しみを隠せず、「老猫(韓さんのハンドルネーム)は何度も命の危険を顧みずに水死者を引き揚げてきたのに、なぜ彼自身がこんなひどい目に遭ってしまったのか」「彼は命を最愛の場所に残した。そこには彼の夢がある。安らかにお眠りください」と弔意を表しました。

 中国広西チワン族自治区の澄江上流にある九頓天窓は四つの斜めの天窓からなり、洞窟潜水世界記録達成の聖地として、「水中のチョモランマ」とも呼ばれています。九頓天窓の手描き案内図は韓さんが生前に描いたものです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News