【10月26日 AFP】イラク北部でこのほど、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に破壊されないよう土に埋めて隠されていた、紀元前8世紀のラマッス像が無事掘り起こされた。

 ラマッスは人間の頭と雄牛の体、鳥の翼を持つアッシリアの神。像はアラバスター製で縦3.8メートル、横3.9メートル。重さ18トン。頭部が欠けていることを除けばほぼ無傷だった。

 調査を率いたフランス人考古学者パスカル・バタラン(Pascal Butterlin)氏によると、頭部は1990年代に密輸されそうになったところを阻止され、現在は首都バグダッドのイラク国立博物館(Iraq Museum)に収蔵されている。

 バタラン氏によると、像は紀元前722~705年に一帯を支配したサルゴン2世(Sargon II)の命で、モスル(Mosul)の北15キロにあった古代都市コルサバード(Khorsabad)の入り口に守り神として建立された。

 近代では19世紀にフランス人考古学者がその存在を報告していたが、それ以降は1990年代まで公的記録から消えていた。

 頭部はそのころ略奪に遭い、密輸するため小さく割られた。

 2014年にはISが周辺地域を制圧。バタラン氏によると、近隣住民が政府支配地域に避難する前に像を埋めて隠したため、ISによる破壊を免れた。(c)AFP