【10月26日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は25日、前日の安全保障理事会(UN Security Council)でイスラエルを激怒させたパレスチナ人の怨恨(えんこん)に関する自らの発言が、イスラム組織ハマス(Hamas)の「テロ行為」を正当化しているように一部で受け取られているのは誤りだと記者団に語った。

 グテレス氏は24日の安保理会合でイスラエルの名前を挙げずに、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で起きていることは「明らかな国際法違反」だと非難。

 さらに「ハマスによる攻撃は空白状態で起きた出来事ではなく」、パレスチナ人が「56年間にわたって息の詰まるような占領」に耐えてきたことを認識するのが重要だと指摘した。イスラエルは特にこの発言に猛反発し、国連に報復措置を取ると明言している。

 25日になってグテレス氏は「特に犠牲者とその遺族に配慮して、記録を正す必要がある」「私はパレスチナ人の怨恨について語ったが、その際にこう明言した。『だが、パレスチナ人の怨恨は、ハマスの奇襲を正当化する理由にならない』」と強調した。

 だが、イスラエルのギラド・エルダン(Gilad Erdan)国連大使はこの説明を一蹴し、グテレス氏に辞任を要求。さらに国連職員はパレスチナ情勢について「うそを流布」していると非難し、イスラエルが国連職員にビザを「自動的に」発給することはもはやないと述べた。

 エルダン氏は「(グテレス)事務総長がきのうの発言を撤回せず、謝罪さえできないのは国連の恥だ」とも批判。特にグテレス氏の「空白」という言葉に強く反発し、「ハマスの行動の責任はイスラエルにあると言っているも同然だ。少なくとも、虐殺に至る『背景』に対する彼(グテレス氏)の認識を示していることは誰の目にも明らかだ」と述べた。

 イスラエル当局によると、ハマスの7日の攻撃では1400人が死亡した。イスラエルは報復としてガザに攻撃を開始。ガザ保健当局によれば、同地区ではこれまでにパレスチナ人6500人以上が死亡した。(c)AFP