■穴だらけのタイ国境

 廃棄物がどのようなルートでミャンマーに流入するのか、またその量については分かっていない。

 国連の貿易統計データベース(UN Comtrade)によると、ミャンマーのプラスチックごみの大半はタイから流入しており、最新の統計である2021年の数値によるとその量は7500トン近くに上っている。

 しかし、約2400キロに及ぶ両国の国境は穴だらけで、密輸業者の出入りも容易だ。ライトハウス・リポーツによれば、両国とも国境では廃棄物の検査をほとんど行っていない。

 国際刑事警察機構(インターポール、Interpol)の汚染犯罪作業部会の元副議長、ウィリー・ウィルソン(Willie Wilson)氏は国連の物を含めすべての貿易データについて、「古いデータも多く、確認も一切行われていない」と指摘する。

「私たちは、誤った申告や欠落したデータという混沌(こんとん)の中にいる。データが分かりやすい隠れみのとして利用されている」

 ミャンマーの軍事政権は7月、タイからの廃棄物の輸入額と、タイ政府が公表しているミャンマーへの輸出額に16億3900万ドル(約2500億円)の差があると明らかにした。

 これについて、違法貿易撲滅運営委員会は「違法取引が原因の可能性がある」としている。

 シュエピーターの住民はAFPに、地元に投棄されたごみの大半は近隣の工業地帯にあるリサイクル工場の廃棄物だと語った。

 しかし、2021年のクーデター以来、軍が実権を握るこの国で、不法投棄に抗議するリスクは高く、サッカー場の予定地がプラスチックごみだらけになっているという。

 住民の一人は、「嫌でたまらない」が「自分たちにはなすすべがない」と語った。(c)AFP